当ブログで投稿してきた内容につきましては、防音職人の問合せページからご連絡いただければ、できる限りメールでご返事いたします。
なお、防音職人からの業務連絡など「お知らせ」は、次のブログで投稿しています。
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大別すると、「木造防音室(主に楽器・オーディオ)」「住宅の生活防音(主に戸外からの騒音対策)」になりますが、前者は自分が出す音が戸外に漏れるのをできる限り小さくすること、後者は戸外からの車や近所の生活音が聴こえないようにすることを目的とした対策です。
手法は、防音工事によるもの、施主のDIYによるものがあり、使用する防音材は共通していますが、新築の場合は、これに壁や床下内部に入れる吸音材が重要な役割を持っています。
問合せの最初の段階は、提案書の検討と概算見積になりますが、最初から無料相談に拘る人の大半は連絡が途絶えました。
一生の買い物を、無料相談で済ませようとする価値観そのものが、防音設計の理念と合いません。
しかも、新築の場合は、新築の施工業者の設計や工事計画に間に合うように準備しないければ実現できませんので、無料相談で時間ばかり浪費する人は、結局、目標を達成することができずに消えていきます。
一方、最初から契約を前提に提案書(防音計画など)と見積検討に前向きに取組んだ案件は、大半が契約となり、契約現場の約8割が11月までに完成し、残りの約2割の現場は、来年(2022年)の春以降に着工する予定になりました。
要するに施主(依頼者)の考え方と努力によって決まるのです。
完成した新築住宅や木造防音室は、当初の目標を達成することが出来、無事に入居されています。
*参考記事:防音職人note
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問題は、図面や情報などの詳細がない段階で、いきなりメールや電話で「解決策を教えて下さい」という問合せの仕方です。
私のような民間の専門業者は、有料コンサルティングや防音設計が本業ですので、地元の相談者以外の相談は、あくまで初回限定のアドバイスになります。
メールへのご返事でさえ、詳細を検討して既往の事例や防音設計の分析資料などを勘案することになりますので、時間がかかります。
電話で質問されても即答できる事項は少ないと思います。
まずは、概要をホームサイトのメールフォームから送信していただいた後で、詳しい資料をご提供いただくのが無難です。
少ない判断材料では、正確なアドバイスや対策方針は提示することができません。
また、いきなり連絡が途絶えるような人には、再度のご相談にはお応えできません。防音職人では誠実な相談者・予約者に時間を使いたいと考えています。
「時は金なり」です。貴重な時間をお互いに無駄にしないためにも、ご配慮いただきたいと思います。
※必ず、ページ内の注意事項はお読みください。匿名性のある問合せには返信できない場合があります。
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防音工事は依頼者が地元の工務店と契約されて実施されたものです。私の担当は防音設計と説明図の作成、専門的な防音材の納品でした。(防音材は施工を担当する工務店の事業所にメーカー直送で納品)
依頼者にはPDFで防音施工の設計図を納品し、転送していただいた画像を私のPCで確認しながら、電話のやりとりで補足説明をしました。無事に、想定以上の防音効果を出すことができたので上出来です。
テレワークでも防音工事のサポートはできるという事が実証できました。
今回の件は、戸境壁から隣世帯の声やテレビの音が筒抜けなので、出来る限り音漏れを小さくしたいというリクエストでした。
防音工事が完了した後、依頼者からの報告では、夜でも殆ど聴こえないレベルまで音漏れが小さくなり、自分たちの部屋で家族と会話していると、全く気づかないということでした。
私の提案した防音設計仕様は抜群の費用対効果でした。しかも、普通の工務店でも問題なく施工できるように設計図と施工要領を納品したのが良かったと思います。
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問題は石膏ボードや遮音パネルを透過してくる重量音対策です。主に30Hzから250Hzの周波数帯を主成分とする騒音です。
重い足音や衝撃音、グランドピアノなどの重低音が該当します。マンションは実は、これらの重量音に弱い構造であり、二重天井やGL壁などを共振させながら透過してきます。
防音材の重ね張りや遮音パネルの張付け施工は、振動音を遮断できません。空気層の共振現象は空気層の内部で対処しない限り大幅に軽減させることは出来ません。
特に低い周波数の音を吸音できる吸音材は限定されており、ある一定の密度と厚さが必要です。これはメーカーの実験データや担当した現場の実測データをもとに、私はすでに分析済みです。
また、低周波音を軽減できる遮音層は一定の面密度と厚さなどの要件を満たさない限り、成立しません。遮音パネルはこれと同等の製品を作っても、天井面に固定すると危険です。
*固定できても振動音は遮断できません。それは防音工事と同様な厚さがないと減衰しないからです。
防音工事に使用する防音材は面密度が大きく、天井の軸組を補強しないと地震などの負荷がかかると危険です。とくに最近のマンションは軽鉄天井が多く、余り重いボードや遮音材を施工することが出来ないのです。
同じく、木造建物の天井も補強しないと重い防音材は使えません。基本的にパネル工法は軽量音対策用と考えるべきです。
ちなみに、パネル工法の弱点は、つなぎ目からの音漏れです。このため遮音欠損が生じるため、軽量音の遮断性能も周波数が高くなると欠損が大きくなります。要するに低い周波数と高い周波数に対して弱点があるということになります。
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主な理由は、重量音は二重天井の空気層および下地・ボード全体を共振させながら透過してくるからです。天井面に遮音材やパネルを重ねても絶縁できないだけでなく、簡単に騒音が透過してきます。
工法そのものがマッチしていないのです。
パネル工法で効果が出るのは、軽量音だけです。それですら完全な遮断は出来ません。
マンション二重天井は重量衝撃音を増幅させる共振体となるという特性があり、実用的な天井裏の深さ10センチから20センチ程度の薄い空気層では減衰しません。
二重天井の重量音は本格的な防音工事で初めて減衰させることができるものですが、構造によっては施工そのものができない場合もあります。マンションは天井裏の配管が邪魔したり、梁型や既存壁の状況によっては構造体を支える下地として脆弱なこともあり、確実に施工できる保証もないです。
要するにマンション天井は新築の段階でないと生活防音の性能を向上させることが難しいのです。マンションリフォームは木造に比べて制約が多く、物理的な障害が多いです。
最もお金のかかる防音工事であるうえに、防音効果そのものを保証できない大変な施工です。
本来は音源である上階の床と受音側である階下の天井の両方で対処すべき構造です。
防音職人における実績においても、リフォーム工事の際に欠陥物件であることが判明して、防音工事完了後の精密測定でも、効果が出ない周波数帯が生じることもありました。
*天井を解体しないと見えないことが多いのです。
また、防音設計の基本を学んでいない業者が対処できるようなマンション物件はないと思います。騒音発生のメカニズムを説明できないような業者がやれるような対策はないです。
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大半が先に窓に内窓を付けても余り効果がないということを最初に言われます。これは窓業者の誇大広告にも責任があります。
まず、住宅内部への騒音の侵入経路はなにかということを考える必要があります。昔の木造住宅は窓と床下が弱点でしたが、最近の木造住宅は窓だけでなく壁面そのものが弱点になっています。それと給気口や24時間換気扇からも音が侵入してきます。
*床下は基礎パッキンから音漏れします。昔の住宅は床下換気口から音が漏れていましたが、壁面は最近の住宅よりも遮音性がありました。
結論から言うと、低周波騒音以外の騒音は、窓と壁面を防音すると大幅に減少します。24時間換気扇も防音タイプに交換すると効果的です。
木造住宅の防音対策において、窓だけ防音することを提案する業者は素人です。住宅の防音設計の知識そのものがないことを示しています。
繰り返しますが、木造住宅の防音対策の優先は「窓と壁」です。次に24時間換気扇、床の順です。もちろん、1階の場合は壁・窓と一緒に床面や天井も防音施工することがベストですが、予算には限りがありますので、優先順位を整理する必要があります。
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そして、デッドスペースが生じますので、その隙間の対策も考慮する必要があります。湿気がたまるとカビの原因になります。
私の相談者においては、音響が良くない、耳が疲れて不快になるという感想をよくお聞きします。
また、階下の居住者に音漏れが酷いというクレームを受けることがあり、DIY対策で何か出来ないかという相談を受けます。
ボックス型防音室やマンションの床の弱点は、床の防振構造です。そして表層の仕上げ材の反射が強いため、耳が疲れるのです。
では、購入した防音室を改善できるのかということですが、物理的には可能です。
比較的簡単な方法で対処できますが、まずはクレームを言われた居住者にヒアリングをして、どのような音が気になるかを確認してから対策を検討したほうが良いです。
*例えば、低い重い衝撃音のような感じとか、具体的な印象を聞くべきです。
また、マンションにおけるピアノ防音室工事のクレームの多くは、床とGL壁を介した音の伝播です。
ただし、築年数や構造的な制約で物理的に限界がありますので、演奏時間帯に留意するとともに、DIYで追加対策を行いながら、階下の居住者と相談する方が解決しやすくなります。
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とくにGL壁は、約63Hzから3000Hzの周波数帯において遮音低下が起きます。これはGL団子と石膏ボードの隙間における共振と石膏ボード・GL団子のコインシデンスが合わさって起こると考えられています。
*通常の石膏ボードのコインシデンスは約2000Hzから3000Hzにおいて発生し、ボードが厚くなると低い周波数の方へずれていく傾向があります。
要するに硬質の遮音材を重ねても、騒音を改善することは出来ません。
また、根本的な防音対策を行うには、GLを撤去して、躯体から絶縁した遮音壁を別途構築するしか方法はないです。それは隣接する世帯のGL壁には手を加えることができないので、音の被害者側で防音性能を高めるしかないのです。
防音工事は特殊な仕様と施工要領、および専門的な防音材が必要になりますので、都内でも確実に防音効果を上げることができる専門業者は非常に少ないです。
天井からの騒音が目立つと思っていたのが、実は壁・柱等から音が回り込むほうが大きいという現場もあります。
*大半がGL工法で施工されています。
GL壁の騒音問題は古くて新しいと言えます。近年のマンションでも起こるからです。
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主な理由は、市販の足音対策マットは、軽量音対策製品ですので、ピアノの重量音には殆ど効果が出ないのです。それと床面そのものが遮音性が低ければ、緩衝材・絶縁材だけでは防音対策になりません。
ピアノの重量音対策には、防音カーペットは役立ちますが、専門的な防音材を重ねて使用することが基本です。
コロナ禍などにより、自宅で過ごす時間が増え、楽器などを使用する時間も増えると思います。
とくにマンションでは、階下だけでなく隣接する世帯すべてにピアノの音が伝播しますので、床だけではなく、壁面の対策も必要です。また、消音器を付けるなど市販品の活用も役立つことがあります。
くれぐれも、ご注意なさってください。
防音職人では、プロ用の防音室に使用できる防音材をホームサイトに掲載していますので、ご覧ください。
床の重量音対策のモデルも例示しています。
もちろん、木造住宅にも適用できるモデル対策です。その他、色々な実例が掲載されていますので、合せてご覧ください。
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今まで約26年間の体験で、数多くの防音材を試して、効果と経年変化を観察しています。※自宅のマンションで。
*並行して担当する木造住宅やマンション、防音室において音測定をしたり、依頼者の体感報告を資料としてストック。
新しい防音技術は、防音材と一般的な建築材料を組み合わせて生まれるものです。そして、建築以外の先端産業や土木・機械工学などの分野において開発された防音材を建築材として製品化している特殊なメーカーと取引してきました。
長い年月と経費を費やしながら、数多くの実践的経験のほか、相談業務を通じて得られた実例やデータを加えて、総合的に分析してきました。
このような努力で選びぬいた製品が、防音職人のホームサイトに掲載されています。
一方、通販業者や後発の自称専門業者が「十分な防音効果がある」と宣伝している製品の根拠は、実例をもとに明らかにはされていないことが多く、信頼性に乏しいものが大半です。
*実際に相談者からもたらされる実例において、だめな防音材が非常に多いことを知らされます。
*防音職人の現場で市販品を使用する中で問題が発生して、追加の専門材を自腹で手配したこともあります。
市販品の多くは実際の現場で防音効果が検証されておらず、あくまで小さなサンプル材を試験室で音測定しただけです。しかも空気音に対する透過損失や吸音率のみの計測ですので、固体音に対する効果は未知数です。
これが防音製品の実態ですので、防音ドアや防音ガラスについても経験豊富なメーカーと取引する必要があります。
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この中でも、上階からの足音など重量衝撃音、GL工法の梁型・壁面への音の伝播が同時に起きているケースです。
上階の足音の主成分は二重天井の場合は、約30Hzから100Hzの低周波音および250Hz以下の衝撃音です。これらの騒音は二重天井の天井裏空気層の共振増幅と軸組下地への固体伝播が複合されて階下に響きます。
要するに二重天井は重量音や低周波音が増幅される「共振体」になります。このため、表層に防音材を貼り付けるだけの簡易的な対策では防音効果は殆ど出ません。
二重天井の防音設計ができる専門家は、東京でもごくわずかしか居らず、現役の技術者・専門家に限定すると、2020年12月現在わずか5名以下という状況です。
このうちの5名の一人が私であり、もう一人が取引先の建築士です。この建築士の知人を含めて3名だけが現役として、マンション二重天井の防音設計が可能です。
これは、東日本大震災以降に、天井スラブへのインサート増設が許可されなくなり、特殊な工法・仕様が必要になったため対応できる専門家が激減したのです。
しかも、防音工事を担当する建築会社が更に少なくなり、東京でさえ現実問題として、マンション天井の防音工事ができなくなっています。
ちなみに、通販業者がホームページに「天井面に防音材を貼り付ければ騒音が気にならないレベルに低減できます」と記載しているのは、誇大広告であり、ほとんど詐欺です。ご注意ください。
]]>*参考→グラスウールと発泡材の比較
吸音断熱材の選択だけで、吸音性能に大きな違いがあり、発泡断熱材を使用するとロックウールやグラスウールに比べて、防音性能が10dB程度低くなります。
10dB程度、遮音性能が低下すると、人間の耳には音漏れが倍近く大きくなるように体感されます。ですから、吸音断熱材の選択は木造住宅には極めて重要なのです。
遮音材で最も一般的で有名なのが「石膏ボード」「遮音シート」です。
石膏ボードは、概ね500Hzから2000Hzの周波数帯の遮音性が高い素材ですので、低音域と高音域において弱点があります。
この弱点を補うために、専門的な防音材(主に遮音材)が必要ですが、市販の遮音シートは殆ど役に立ちません。
*参考→遮音シート・遮音マット
市販の遮音シートは面密度が約2.0kg/m2から3.0kg/m2であり、石膏ボードよりも面密度がかなり小さいため、重ねて施工しても相乗効果は出ません。
*このことは日本音響学会が実験で確かめています。
理想的な遮音材は、高比重で柔軟性のある素材です。素材としては合成樹脂、遮音ゴム(リサイクルゴム素材を含む)、ブチルゴム、アスファルト基材が適していますが、遮音ゴムは経年劣化が早いので、使用する箇所や用途には注意が必要です。
*ブチルゴムは単価が高く、施工しにくい面があるので、主に帯状の気密テープや遮音テープに使用されることが多いです。
]]>この場合、隣の世帯からの振動音や声・テレビの音などが聴こえる場合がありますが、これはGL工法による典型的な弊害です。
*マンション自体が欠陥住宅ということではなく、設計仕様が間違っているということです。
旧建設省時代に、マンション事業者や建築士に向けて通達のような指針があり、マンションなどコンクリート構造の共同住宅(集合住宅)の戸境界壁には、GL工法は使用しないように伝えられた経緯があります。
しかし、その後、徹底したマニュアルが公表されていないためか、マンションデベも建築士も同じ間違いをしています。
GL工法を使用すると、コンクリート素面の状態よりも10dB以上の遮音低下が起きます。
要するに本来のコンクリート躯体の遮音性能よりも大幅に防音効果が低下することになります。
GL壁の上に鉛のシート厚さ1ミリとPB9.5ミリを重ねても殆ど効果はありませんが、専門業者や建築士が知らないでやってしまう典型的な失敗例です。硬質な遮音パネルを重ねてもコインシデンスによって、遮音低下が起きる周波数帯が生じます。
コインシデンス周波数が低い方へずれるので、今まで気にならなかった周波数の音が気になるようになる場合もあります。
やってはいけない、GL壁の防音施工です。
これは質量則のみで防音対策を考えると、こういう失敗が起きます。防音設計の基本がわかっていない業者がやってしまいます。
既存のGL団子を撤去して防音構造を構築するのがベストですが、費用などの面で実施できない場合は、制振材と遮音材を重ねて施工します。※振動音の場合は、重ねるだけでは余り効果は無いです。
]]>*防音材を探すときも同様ですが、私の問合せを見る限り、施主が探した情報を建築士に提供しているケースが多い。
防音設計に関する情報は、むしろ建築のプロよりも施主(専門外の依頼者)自身がネットで探してから、建築会社や建築士に相談することが多いようです。それだけ建築士は探す時間的な余裕がないのと、基本的な知識を有していないので探し方を知らないと言えます。
防音設計の課題は、業界の関係者自体が専門的な知識や経験を持っていないこと、専門家自身が現実的な対策や工法を確立できていないことが少なくないからです。
我々専門家も、費用対効果や現実的な工法に合致する設計理論を構築している発展途上と断定しても過言ではないと思います。
それらの課題の多くが、「木造防音」と「マンションの二重天井防音」に集約されています。実際の施工実例がネット上に殆ど出ていないことからも明らかです。取り組みやすい課題や事例、開発しやすい製品はネット上にたくさん出てきます。
私自身も25年以上の防音設計の経験があるにも関わらず、もっとグレードアップさせたいという課題を持っています。例えば大きなスパンの二重天井、薄い構造による低周波・重量音対策などです。
新しい理論や工法がないか、時々ネットで検索しますが、たまに特許申請の研究結果の概要が出てきます。ですが、それらは現実的な住宅や建築空間において使えないような机上の空論です。膨大な空間や吸音層、過大な遮音層などあり得ない工法です。
*研究者の大半が音響学会や建築学会所属の企業の社員、大学の研究機関です。
研究者でさえ解決に時間がかかる課題や工法を建築士や建築会社が設計できるとは思えません。それが建築業界の実情です。
大規模な音楽ホールやオフィスビルで適用できる防音構造は、一般的な木造住宅やマンション、木造建築物にはそのまま使うことはできません。
*参考:防音対策の20年史
]]>・騒音伝播のメカニズムを理解すること。
・現実的な対策の工法を設計すること。
・防音施工が出来る業者を探すこと。
防音設計は騒音伝播のメカニズムと遮断方法を提示できる専門家でないと、設計図も施工要領も作成できません。
*実際に実例を掲載しているウェブサイトが殆どないことを考えると、「天井防音対策が」が最も難易度が高いと言えます。
マンションの二重床や二重天井の騒音伝播を専門的に始めて分析した組織は日本音響学会です。ですが、彼らは現実的な防音施工を設計したり、施工要領を提示できません。現場の建築知識や工事経験がないので、理論を具体的な施工に移すことが出来ないのです。
要するに研究者は防音設計・施工計画ができないし、建築士など設計者は防音設計そのものが理解できないという、致命的な業界の課題があります。
*この状況は25年前から変わっていません。
予算の問題を除いても、かりに防音設計が出来ても、実際に施工できる専門業者が予想以上に少なく、東京においても殆ど居ません。
それは難易度が高い割に手間がかかり、採算性が低いからです。
あえてリスクの高い案件を受注しようとする業者が居ないのです。
さて、ウェブサイトを探すためにキーワード検索しても、実例も解説ページも最近は出てきません。
検索エンジンそのものが専門的な内容や現状を理解していないので、コンテンツをただ自動的に拾っているだけです。
私が作った約17年間の事例ページも、現在はキーワード検索では殆ど出てこなくなりました。これが現実です。
出て来るのは、いい加減な素人ページや業者の誇大広告ばかりです。
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その後、更に技術的な課題を乗り越えようとして、実践した内容を次のページにまとめました。
約25年かけて解決した課題もありますが、費用対効果や現実的な製品開発の問題で実現していない防音技術もあります。
しかしながら、一般的な住宅や木造建物における防音対策は概ね示すことが出来たと思います。
これからは、残りの人生の中で、さらに答えを求め続けていくのか。後継者にバトンタッチするのかは決めていません。
少なくとも、木造防音ひとつをとっても奥深い世界であり、努力もしない専門業者が、そう簡単に届くものでもないような気がします。私は独学で住宅や木造音楽室の防音設計の道に入りましたが、世の中には道標となる書籍もウェブサイトも殆どないのが現実でした。それは他の専門家が自分のプライドや目先の利益に取り憑かれたからです。
専門的なウェブサイトを紹介するプラットフォームもなく、あるのは企業の宣伝サイトです。それが検索エンジンの限界でもありますが、自分のウェブサイトだけでも更新し続けて、情報を発信したいと考えています。
どんなに研究者が特許的な技術を開発したり、計算式を作っても、現実の建物に適用できなければ「絵に描いた餅」です。
机上の理論や計算式どおりに設計施工できるのなら、世の中のマンションや木造住宅の防音課題は解決されているはずです。
現実はそうではない。理論式や特許技術には欠落しているものがある。現実との乖離がある。
それは研究者は現実の設計・工法を経験していないからです。それが机上理論の限界です。実務者は乖離している部分を補正することが必要です。
]]>石膏ボードを重ねて改善できない周波数帯を、わずか厚さ3ミリの遮音ゴムを挟むだけで弱点を改善し、相乗効果をもたらします。
これは防音素材のもつ固有の特性であり、特性の異なる防音材を組み合わせることによって防音効果を高めることができることを実証しています。
とくに木造建物においては、比較的薄い構造でも遮音効果を大幅に高めることを、上記のような特性を複合化することで実現できます。
例えば、アスファルト基材の遮音材と樹脂の遮音ゴムマットを重ねると弱点のない綺麗な右肩上がりの透過損失を示します。
厚さ12.5ミリの石膏ボードを2枚重ねても改善できなかった周波数帯の透過損失(遮音性能)を、わずか6ミリ弱の遮音層が大幅に上回ります。
このような技術は、実際の現場で音測定調査などによって検証することで生まれます。薄い防音構造は木造建物では特に重要であり、空間を狭くしないで、必要な生活防音や音楽防音室を構築できます。
これは、専門的な防音材だけでなく、石膏ボードや合板、シージングボードなど一般的な建材においても起こる現象です。
防音設計の基本となる知識です。
*参考:専門的な防音材
]]>*木造は固体伝播音を伝えやすい構造ではありません。
*自社の工事を勧めるための誤った情報を発信している業者は「木造防音の専門家」ではありません。
基本的に固体音を伝えやすい素材はコンクリート・鉄・石膏ボード・ALCなどが有り、木材はこれらに比べると響きは柔らかく、音が伝わるスピードも少し遅くなる性質があります。
したがって、木造は剛性補強を適正に行えば、重量音も軽量音も軽減できる構造であり、コンクリートや鉄骨造は内装に個体伝播音を軽減する構造を構築しないと、生活音でさえ響きやすくなります。
建物の躯体構造の剛性が高いと、重量衝撃音を抑えることが出来るのは、木造・コンクリート造・鉄骨構造すべてに共通したことです。軽量音は鉄・コンクリート・石膏ボード・ALCなど硬い素材において瞬時に伝わる特性を持っています。
逆に、コンクリート・鉄骨造でも、柱・梁の断面が小さくて、スパンが長くなると、たわみやすくなり、重量衝撃音(固体音)が非常に伝わりやすくなりますので設計の際には注意が必要です。
同様に木造でも、軸組の強度や面材の補強を疎かにすると、重量衝撃音(足音など)が目立つようになり、生活騒音として悩むことになります。要するに、どんな構造でも弱点があるので、それをカバーするような設計・施工は必要なのです。
木造軸組在来工法の利点は、構造的補強やリフォーム・改修が比較的容易なので、費用対効果や予算に応じて計画できることです。木造在来工法は部材など部分的な交換や軸組の改修補強がやりやすいのが特長の一つです。
なお、ツーバイ工法は軸組在来工法に比べて、床・壁が共振しやすい構造ですので、建物用途や間取りに留意するとともに、生活防音の仕様を別途用意しておかなければなりません。
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通常の天井防音対策は、上階の床防音とセットで施工するのが定石ですが、マンションは加害者側の上階床の施工は同意が得られないことが大半なので、被害者側の天井などを防音工事で対処することになります。
木造住宅においても、上階床の防音施工は床の厚さを改変することで建具などを造り直すことになり、費用がかさみます。
このため、マンションと同様に階下の天井だけで防音施工を行うケースが出てきます。
ですが、音源で対処したほうが防音効果は出しやすく、天井の防音工事もやりやすくなります。天井の対策を単独で行うことが最も難易度の高い設計・施工ということになります。
成功事例も研究データも少なく未知数の部分が多いので効果が保証できない対策と言えます。
また、木造においても、木造軸組在来工法とツーバイ工法では難易度が異なります。
前者は比較的改造ができますが、後者は既存構造を解体して造り直すことが殆どできないことが多く限界があります。
いずれにせよ、上階からの振動を伴う騒音対策は、新築でもリフォームでも、確実な工法が確立されていません。
今後、さらに実例を検証して分析を続けたいと考えており、私の方のチームでさえも判断材料が不足していると言えます。
私も25年以上、分析・考察を続けていますが、防音設計の課題は残されています。
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防音対策上の大きな相違点は、前者は壁と床が共振しやすく、新築時においても床下や壁のパネル内部に吸音材を入れるのが難しいため、防音効果を向上させるには、新たに防音壁をふかして二重構造にしなければならないという事です。
その分、防音構造が厚くなります。
それに対して、軸組在来工法は、新築時でもリフォームでも壁や床下内部に吸音材を入れるのは比較的容易です。このため、比較的薄い防音構造でも同等以上の遮音性能を確保できます。
また、軸組在来工法は間取り変更や構造的な補強が施しやすいため、リフォームによる防音対策が比較的容易です。
以上の点を考慮して生活防音を重視する場合は、工法上の制約を理解した上で新築計画やリフォーム計画を検討する必要があります。
なお、1階床の構造的補強は、隣室に床下点検口があればもぐって床の束増設が出来ますので、ツーバイ工法でも可能です。
木造住宅は、いずれの工法も床下換気や外壁内の通気は、建物寿命を伸ばすために重要であり、木造の構造的特徴を活かすことが、防音工事においても不可欠です。
通気・換気機能を確保した上で、防音構造を構築できるのが木造の特長であると言えると思います。
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現在のような緊急事態においては、複数の職人が集まる防音工事の現場よりも、自分で休日等空き時間を活用して、仕事場や趣味の音楽室などを防音施工するほうが安全です。
*もちろん、天井など難しい所だけ建築業者に部分的に依頼して、それ以外をDIYで防音材を施工することも出来ます。
私の知人職人も、故郷の実家を仕事場にして、自営業者として今月から開業しました。
こういう手作りのオーダー製品を活用すると、防音工事が楽になります。
また、一般的な建材も活用の仕方を工夫すると、防音効果を高めることが出来ます。
そのためには、建築材料や既製品、専門的な防音材の特性を知ることが重要です。
要するに、ご自身の予算や難易度に応じて、自分が施工する内容や外注する工事を仕分けして計画すれば、無駄を省きながら、自分のペースで工事を進めることができます。
大いにDIY防音を活用して行けば良いと思います。
]]>問題は、どの製品がどのような音に対して有効なのかがよく分からない、実例が少ないことだと思います。
これに対して、防音職人ウェブサイトに掲載している防音材は実例で効果を計測済みであり、多様な組み合わせごとに計測して検証したり、施主に体感していただいています。
このような作業の繰り返しによって、約25年間かけて選んだのが、現在掲載している製品です。
一般的な通販サイトでは類似品が数多く並んでいますが、具体的な現場での実測値が殆ど表示されていません。
実例の体験者の報告も少なく、信頼性が判断できません。
先日、防音相談において、遠方から私の仕事場に相談にお出でになった人が持参した制振材は、どれも効果がなかったそうです。
一つ一つ触ってみると、素材がいくつかに分類できました。
*大半が軽量音対策の製品であり、重量音には効果のない製品でした。
疾病と同じで、処方が間違っていれば、当然、防音効果は余り出ません。そのような事例は数多くあります。防音材サイトのユーザーの声には偽物が多くまぎれており、これらの多くはサクラです。
製品販売業者のスタッフなどが投稿した声、ステマなど信用できるはずがありません。
ですが、一般ユーザーには見分けることができません。
これが現状の防音材選定の難しさの主な理由です。建築士でさえ、防音材サイトの記述を鵜呑みにしている状況ですから、彼らの提案も信用できません。
実践的経験や防音設計の実務が豊富な技術者でないと問題点を見破れないのが実情です。さらに重要なのは良質な防音材を入手できても正しい施工要領がないと適切な施工そのものが出来ないという事実です。
]]>ネット上にも実例が少なく、新しい情報は更に少ないです。
このため、防音職人のウェブサイトには地方の現場を担当する建築士からも問合せや依頼があります。彼らが言うには、古い遮音設計マニュアルは存在するが、最近の工法や木造住宅の実例に基づく設計図書が見つからないということです。
私も色々と調べましたが、情報が分散しており、何がオリジナルの情報なのかが分かりません。おそらく、実例が掲載されていないので運営者の実体験ではなく、何かのコピーだと思います。
私の場合は次のページに示すように多面的な資料や実体験をもとに防音設計を確立しています。
→ページの中段以降の説明をご覧ください:防音の検討スキーム
また、自宅マンションで25年以上に渡って自宅を実験台にして防音効果を体感しています。防音材などの経年変化も見ています。
本業の木造防音室では取引先に音測定調査を外注したり、工事を担当する提携先の建築士に施主からのヒアリングを重視するように指示しています。
人間の耳は個人差があるので、音に対する体感は出来るだけ多くの事例を分析しないと防音設計の資料にはなりません。実例が少ないと設計仕様や工法に反映させることが出来ないのです。
概ね、以上の概要が「住宅の防音設計」の難しいところだと思います。
ちなみに、コンクリート構造の防音スタジオや音楽ホールの実例は沢山あるので、比較的勉強しやすい分野です。専門書も沢山あります。
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基本的にすべて受注生産品のため、メーカーの倉庫には在庫がわずかしかありません。これはトヨタ自動車が実施しているシステムであり、発注された必要量だけ生産する製品です。※市販品のような定価やメーカー希望価格がありません。
私のほうは設計価格(定価のようなもの)に対して、割引率を設定し、メーカー代理店(問屋)からの仕入れ価格に応じて調整しています。基本的に税込み価格ですので、今年の様に消費税率がアップすると仕入れ価格も値上がりします。
*ですが、メーカー各社の価格改訂に応じて個別に判断していますので値上げしない製品が多いです。
特に木造防音室の契約者については、来年(2020年)も価格を据え置く予定です。※ただし、大幅な値上がりが起きた場合は価格改訂を検討します。
防音職人では、依頼者(施主などの契約者)のご予算を考慮して出来る限り調整します。こういう対応が可能なのは、大手メーカーを始めとして直接取引(仲介業者がない)で価格を抑えているからです。※メーカーの工場・事業所から直接出荷しますので中間経費が有りません。
ちなみに、一部の防音材は大手メーカーが色々な専門業者に供給していますが、他の専門業者は仲介業者を経由していることが多く、その販売価格が防音職人の現場納品価格の1.5倍から2倍近い製品があります。
私のほうは防音設計が本業のため、防音材の単価を低めに抑えています。これも防音職人の特長の一つです。すべて防音室など実績のある費用対効果の高い製品です。
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特に地方の建築会社の建築士や取引先の建材業者などにそう言われます。音楽教室の先生には木造軸組在来工法がピアノ室としては最適であるが、音響・防音設計ができる専門家が居ないとまで言われました。
私の技術は少し特殊なため、提携先の木造建築業者にも理解できないところが多々あるので、安易に真似できないと評価されました。しかも、使用する防音材の選定が難しくて、費用対効果の高い材料を選ぶこと自体がハードルが高いと。
ですが、私のホームサイト「防音職人」の知名度は低く、契約者の多くがホームページそのものを見つけるのに時間がかかると言われます。
これは私の努力が足りないのか微妙なところですが、競合する建築業者が増えれば埋没しやすくなるのは、ある程度は仕方ないことだと思います。
私には提携先の木造施工業者以外に、特定の業務提携先は存在しないので、ウェブサイトなどのネットワークは小さく、他の専門業者に比べて宣伝力は弱いです。
しかしながら、元契約者の紹介やリピーターの案件は毎年のようにあり、このような方々の協力で、なんとか本業の防音設計を行うことが出来る事を感謝しています。
私のホームページは、文章が多くて、理解するのに時間がかかるのが難点ですが、伝えたいことが沢山あり、あのようなウェブサイトになりました。
どうしても、主なコンテンツを早く読みたいとお考えになる人は次のページをご覧ください。重要なコンテンツに比較的早くアクセスできると思います。
これでも多すぎるという人は、「防音設計の基本」「役立つ防音メモ」だけでも、じっくりとお読みいただければ幸いです。
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この企業は鉛のシートとボードを貼り合せた遮音パネルを使って防音工事や販売事業を行っていますが、当初は正直に測定データ(周波数ごとの透過損失)を自社のホームページに掲載していました。
ところが、その製品の弱点を私が指摘したり、ブログなどで投稿したとたん、弱点である低い周波数帯と高い周波数帯のデータを削除し隠しました。そして、その後、該当する周波数帯の遮音データを直線的に右肩上がりのグラフに書き直してしまい、データを改ざんしました。
実態は、石膏ボードの持つコインシデンスなど弱点を解消できない遮音パネルだったわけですが、そうすると鉛の製品そのものが費用対効果が低いことを自ら認めてしまうことになるので、都合の悪いか所を削除したり、誤魔化したのです。
この事実を知らないで購入して、防音工事で使用した、ある木造ピアノ防音室の施主から相談があり、このことを伝えましたら、かなり失望されていました。音響が大幅に悪化しただけでなく、音漏れが酷い状況になったということです。
この遮音パネルは工法的にも問題があり、つなぎ目から高い周波数の音が漏れるので、ピアノの周波数帯とかぶるため、音漏れが顕著になります。※人間の耳は高い周波数帯の音がよく聴こえる。
その後、上記の企業は、アスファルトシートと石膏ボードを重ねた後発の遮音パネルを販売し始めましたが、つなぎ目からの音漏れは改善されていません。
これは遮音パネル工法の共通した弱点です。
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その重要点は、面密度(kg/m2)、柔軟性(硬質でなく曲がるもの)、耐久性(引張り・曲げ、経年変化など)に優れていることです。施工する際に、切り口(切断面)が曲がったりして突きつけるのが難しい製品は、防音工事には不向きです。すぐにちぎれてしまう素材もダメです。
面密度が小さくて制振性が弱い製品も遮音効果が低いので、これも除外しています。鉛のように面密度が大きくてもコインシデンスの弱点があり、制振性が弱い製品は防音材としては汎用性がありません。
以上の重要な諸点を考慮すると、薄い遮音シート、非硫化ゴム遮音シート、リサイクルゴム製品、鉛シート・ボードが不適格になります。アスファルトシートも表面が特殊加工していない製品はちぎれやすいので、施工性に難があります。
結局、費用対効果や施工性を勘案して残った防音材が防音職人のウェブサイトに掲載されています。
25年以上の実践経験で使用した製品が主力資材として、担当現場で活躍しています。
これらの防音材は世間では知名度が低いため、一般ユーザーや建築会社には余り知られていませんが、私の取引先や提携先ではプロ仕様の防音材として評価の高い製品です。
]]>単なる言葉遊びや製品の羅列に反応した結果です。
この天井防音の本質を分析しないと問題は解決できません。特に一般的なマンション住居やテナントにおいて、難易度の高い問題が天井騒音、なかでも低周波を主成分とする衝撃音や重低音の伝播です。
これは天井裏などの空間の空気層の振動増幅や騒音拡散を起こす共振体が問題です。二重天井や二重壁などの空洞を有する構造体の共振・固体伝播が主原因です。
これを理解した上での対策をどうするかという技術が「防音設計」です。
防音設計の技術のない業者には、二重天井・二重壁および二重床の重量衝撃音対策は無理です。
空気層の共振を抑える吸音材、下地構造の絶縁材、板状面材の制振・遮音など複合対策を「防音設計」として計画して施工できる専門業者のみが現状を改善できます。
防音製品を敷いたり、天井に貼り付けるという対策だけでは無理です。
日本音響学会の分析では、普通のマンションの二重天井は重量衝撃音に対して「共振体」となるため、現実的な対策はないとまで断言しています。それだけ難しい問題なのです。
実際の工事としては、いくつかの条件が備わっている現場において、上記のような設計・施工で騒音を改善できます。実例もあります。ですが、ネット上には成功事例が殆ど出てきません。
*出て来るのは防音職人の成功事例だけです。
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確かに木造の防音設計の書籍は私も見たことがありません。ネット上には役立つ情報もあるのですが、あちらこちらに分散しており、集約されているウェブページはなさそうです。
そこで、私が構築した情報サイトをご紹介しますので、参考にしてください。
私が本業の合間に作ったページですので、多少の重複はありますが、防音設計の基礎知識として役立つと思います。
ネット上の情報は、専門家でないと重要性などを判断できないと思います。
これは木造住宅や防音室に限られたことではないのですが、迷ったらセカンドオピニオンを活用することを考えてみてください。
木造の音楽室・防音室を考える前に、木造建物の工法や特長を理解することが重要です。
また、一般建材を含めて防音材そのものの特性に留意することが、成功するための設計仕様の鍵になります。
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ところが依頼者(契約者)が見つけた簡易防音パネルを使用した防音引戸の遮音性能は、そのメーカーの回答では15〜20dBしかないということで購入を見送りました。
私がちゃんと遮音性能をメーカーに保証してもらうようにアドバイスしましたら、上記のような有様で、これでは普通の木製引戸と大差ないだけでなく、それ以下の性能しかないというお粗末な防音パネルでした。
*メーカーのホームページには遮音性能の説明がなく、誰でも簡単に取付けできる遮音パネルとしか表現されていませんでした。
通販サイトには、このような誇大広告や問題製品が溢れており、注意が必要です。
ちなみに、このメーカーは、以前にもこのブログで誇大広告製品を指摘したのですが、性懲りもなく、またいい加減な製品を販売していたのです。今回の簡易防音パネルを使用した引戸は約14・15万円するそうで、驚きです。普通の木製引戸なら、約半額で購入できるので、大工なら敷居など枠材込みで約10万円で施工できます。
*関連記事:コルクマット(床防音)
この簡易防音パネルを既存の壁面に重ねても、遮音性能が15〜20dBアップする保証はありません。それは実績値や設置条件の説明がないので、あてにならないと思います。
壁の簡易防音や防音引戸など、安易に通販業者から購入するとリスクがあります。処分する際には別途お金がかかりますので、うっかり購入すると二重の無駄になります。
]]>*出てきたとしても、それは防音職人が設計施工した事例です。そう、私が防音設計を担当した現場です。
なぜ、今は担当しないのかというと、まず予算的な問題や施工を担当する施工チームが少ないため、木造案件で一杯になると手が回らないという事情があります。
また、防音工事の許可をしていただくには、管理会社と管理組合の同意が必要です。これがかなり時間がかかるし、近隣世帯の同意書でダメになる案件もあります。
*騒音の加害者が、被害者の防音工事に同意しないというとんでもない現場も有ります。
さらに、大震災以降、防音構造の工法が大きく変わりました。防振吊金物を増設するためのインサートを増設できないという制約です。(この防振吊金物自体が経年変化で緩むことがありますので、どうしても増設しないと物理的にもたない)
そこで防音職人では他の専門業者とは異なる仕様で対処します。
*問題は費用が少しかさむことです。
被害者側の防音工事というのは、最後の砦であり、どうしても構造的に費用が嵩みます。本来は騒音源で対処すべきものを、被害者側の天井・梁(壁面も含む場合がある)において防音するので、本当に水際で水害被害を抑えるような難しさがあります。
しかも騒音の主成分が低周波の場合は、グラスウールなど吸音率の低い素材では対処できません。
同時に遮音・制振層の構築と下地の振動絶縁が必要です。
どうしても専属の施工チームしか依頼することができません。
以上の諸事情から、私が相談をお受けしても契約に至らないケースが多いため、事業者としてやむを得ず木造案件に力を入れているわけです。ネット上には私のウェブコンテンツを切り張りしたようなキレーションサイトが結構出てきます。
彼らはみなど素人です。建築の知識もありません。
私も苦々しく見ることもありますが、相談者自体がいい加減な情報サイトを見て諦めてしまうこともあると思います。
*グーグルはスマホフレンドリーを重視していますので、私が作った静的なHTMLページそのものがキーワード検索で出てこなくなっています。
今までのコンテンツを作り直すのはなかなか大変な作業になります。
少ないですが、次のマンション防音の実例をご覧ください。(スマホに対応してます)
また、通販業者の誇大広告を解説した記事も併せてご覧ください。
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これは固体伝播音と空気伝播音を混同している素人が書いたもので、間違いです。
*コンクリートや鉄骨は木造よりも固体音(衝撃音など)が速く伝わります。しかも音を吸収しないので音源での音の強さが減衰しないで、近隣に伝播します。物理的な特性です。
それに隙間がなければ、木材とコンクリートが同じ厚さであれば遮音性能に殆ど差はないです。
実際には木材も相当の重量がありますので、一般的な木造住宅の天井や壁を隙間なく厚さ20センチ程度の構造で造ることはありません。ですから、空気伝播音の遮音性能でさえ、同じ条件では測定していないのです。
断熱材を壁内に充填した構造を同じ厚さのコンクリート住宅と比較しては意味がありません。重量も構造も異なるからです。
ですが、壁内に高性能な吸音材を入れて、内装に木質パネルや構造用合板・強化PBを重ねて施工して隙間をシールすれば、厚さ150ミリのコンクリート壁とほとんど差のない遮音性能を確保できます。
*ただし、これは木造に通気層を設けない場合です。
木造は通気層を設けて長い寿命を確保するものですから、コンクリート構造と同等の遮音性能を出すには防音材を併用することになりますが、同じ厚さ150ミリの構造でもコンクリート壁150ミリに匹敵する防音性能を出せます。
ネット上の情報は大半が素人が見よう見まねで投稿したものが多く、まったく防音設計の基礎も経験もない素人がフェイク情報を垂れ流しているのです。
それを検索エンジンがキーワード検索で上位に上げているのですから困ったものです。
]]>*地元の施工業者のものです。
このピアノ防音室(ちょっと古い木造住宅)は、既存家屋の天井と床を解体し、窓を一つ潰して防音壁にする前提の工事でした。
*私の提案書に変更して無事に所定の防音性能D-60以上を確保できた現場です。
地元の工務店の見積書は3社見積りの中で最も安かったので、この業者が他のリフォーム工事と一緒に契約したものでした。
約8帖の洋室をピアノ防音室にリフォームするものですが、防音工事費用の見積り額は約330万円です。
これは東京では安い方ですが、驚いたことに「ある東京のメーカーの防音材と設計」をそのまま適用したもので、A防音レベルでD-40〜D-45性能と表示されていました。
*S防音ではD-50レベルで、金額が500万円以上になるもの。
依頼者の条件では予算が300万円以内で、D-60以上という希望でしたので、上記の建築会社では無理だという事で、東京の専門業者を探して、防音職人のホームサイトを見て、東京まで相談にお出でになったのです。
しかも施工業者の提案内容を見ると壁と天井の防音施工しか計上されていないのです。
ご予算的にはかなり厳しいですが、色々と工夫して税別約280万円に納めました。
*施工業者の協力で吸音材の一部と天井の吸音化粧板、床の杉板フローリングは格安で提供するという条件でした。
*私の取扱い防音材の送料が値上がりする前でしたので、設計図と一緒に、なんとか防音材も無事納品できました。
とにかく、東京の大手防音室メーカーや防音材メーカーは、とても防音設計を理解しているとは思えないお粗末なものです。
自社の製品を売ることが目的であり、代理店から手数料をもらうシステムなので割高であり、防音レベルもダメです。
費用対効果が低いだけでなく、ピアノの固体音や音響を無視しています。
依頼する方にも自己責任のある業界ですが、大きな看板はなんの役にも立たないことが分かりました。
とくに木造防音室は専門業者が少なすぎます。
*参考ページ:木造防音室(在来工法の事例)
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新築住宅や改修を伴う木造において、たとえば防音室および生活防音を依頼する場合、吸音材を軽視する専門業者は専門家ではありません。おそらく自社の遮音パネルなど既製品の遮音材、石膏ボードを重ねる対策にシフトする提案をすると思います。
木造に限らず、防音対策に使用する吸音材について具体的な効果や概要を説明できない設計者は専門家とは言えません。
また、グラスウールだけで防音設計を行う業者は知識や工法が古すぎます。
幅5センチから10センチ程度の壁内などの空間は隙間なく吸音材を充填することが効果的であり、幅広い周波数帯に対応する防音効果を考える場合は、ロックウールやポリエステルウールを使用します。
*厚みや密度も重要です。
通常の木造防音室では限られた空間を活用するため、天井裏や壁内、床下に吸音材を充填します。
そのうえで必要な遮音材、制振材などを組み合わせて設計します。
そうすれば新築設計の場合、過剰な防音壁や天井・床下の改造は不要になります。新築業者に予め下地補強や吸音材充填をしてもらえば、比較的薄い防音構造を追加するだけでピアノなどの防音室ができます。
さらに、防音対策の音に対する周波数特性を考慮しない設計は、防音設計とは言えません。
以上の諸点を専門業者に質問すれば、専門家を判別できると思います。
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他の事例と併せて見ると、彼らの知識は非常に古い物であることと、大手建材メーカーの製品そのものを鵜呑みにしていることが分かりました。
例えば、遮音パネルが現場での防音材と建材の組合せ施工よりも効果が高いと誤認したり、吸音材そのものをセルロースファイバーやグラスウールの断熱材しか知らないため、ロックウールの選択そのものが欠落しています。
一般的な建材にしても、床面にALCやセメント板など固体音(足音や落下物などの音)を伝えやすい製品を使おうとします。
これは重ければ、どんな音でも遮音できると思い込んでいることが原因です。
既製品の遮音ゴムにしても安くなく費用対効果が低いことを実例を持って、建築士に例示しました。
また実例として、私の木造防音モデルの一部を特別に渡して、個人的に研究を進めるように伝えました。
世の中の事例情報は古すぎたり、遮音シート・パネルのように費用対効果が低すぎるものが多いです。
その仕組みは解説すると建築士なら直ぐに理解できます。
*コロンブスの卵と同じで、言われてみればなるほどということになります。
そもそも、遮音ゴムだけで全ての防音対策が出来ると考える事自体がすでに時代遅れです。
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とくに天井裏や壁内などの空洞部や断熱層に適切な吸音材を施工することを考えると、圧倒的に新築の段階のほうが無駄がありません。リフォームの場合は既存のボードを撤去して施工し直すわけですから解体費用・建具調整及び補修費用など無駄が出ます。
新築住宅の生活防音や防音室の計画において、重要かつ基本的な防音設計知識を次のページにまとめましたので、参考にしてください。→防音設計の常識
新築の防音対策は吸音材以外では、窓と遮音材の施工が重要な内容になります。
窓の場合は、内窓を付けて二重構造にすることも考えられます。たとえば、リビングと防音室だけは、防音ガラスを使用するなど特別に費用をかける価値があります。
同時に外壁側の内装壁に遮音材を予め施工しておけば、わずか3ミリから6ミリ程度の対策でも、15dB程度遮音性を向上させることが可能です。
15dBの防音効果がアップすると、一般的に人の耳には騒音が半減〜6割程度小さくなって聴こえます。
とくに木造住宅はメリハリのある防音施工が大事だと思います。
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なかでも、木造新築住宅を無駄に改造して、大幅に狭くする工法で防音工事をする建築会社が増えています。
*要するに大元のノウハウが同じため、同様の設計・施工を行うという金太郎飴のような断面です。
しかも、新築木造の天井・内装壁・床下を解体したうえで、非常に狭くする工法の意味が分かりません。
*既存の換気・通気を遮断する工法を併用しているので、木造の寿命は通常の木造住宅などに比べて短くなります。
主な概要を抜粋すると、次のようになります。
・床下を解体してコンクリート床を増設し、換気を遮断する→換気を遮断すると木造の寿命は短くなる
・天井や壁を解体して軽量鉄骨軸組に改造し、天井を大幅に下げ、壁を大幅に厚くして部屋を狭くする→小規模な部屋だとピアノ配置に自由度がなくなる。家具が置けない。音響が悪化する。
・床材に無垢のフローリングを施工すると床鳴り、がたつきなど、通気遮断、コンクリートの湿気による弊害が出る
無垢材を含めた木造そのものがピアノ防音室の最大の音響上のウリなのに、その特長をすべて台無しにする工事と言えます。
約6帖で税別300万円以上の金額になり、とくにプロの音楽家やピアニストには到底受け入れることができない仕様です。
遮音性能も大半の業者がD45〜D50レベルですので、これではDIYで防音材を重ねて施工したほうがベターです。
*専門業者とは、大半が木造の利点・特長を理解していません。
木造在来工法は、最もピアノ室にマッチした構造です。くれぐれも長所を台無しにするような提案を受け入れないようにご注意ください。ちなみに「在来木造は豊かな音色が響く楽器」と呼ばれます。
それが多くのプロが好む所以です。予算が許せば、床には無垢材を使用したいです。
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戸外への主な音漏れの経路は、外壁・窓・床下です。天井裏は音が減衰するので吸音と音響を中心に対策を行うことで間に合います。
*ただし、真上の部屋が寝室の場合は話は別です。
床は最近の基礎パッキン工法により、音漏れの弱点の一つになっていますが、床面の遮音対策と床下の吸音対策、束補強で解決できます。床下の換気(通気)は木造の場合は絶対確保しなければなりません。
アップライトピアノやグランドピアノの音響はDIY防音材や敷物、家具で調整できます。
*カーテンは遮音カーテンは無意味です。少し厚めの布地が有効です。
グランドピアノの重低音が床面で響きすぎる場合は、市販のポリエステルクッションなど真下に敷き詰めると調整できます。
*低い音は吸音素材の厚さが必要です。
木造のピアノ室は窓以外は、けっこうDIYでも音漏れをかなり軽減でき、ローコストで音楽教室を造れます。
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ところが、内窓を付けて約D-40(遮音性能)にするのはいいのですが、相談者の多くは壁から音が漏れている(戸外の騒音が入ってくる)と言います。
*窓だけ対策すれば大丈夫と言うのは、素人の業者または窓業者だけです。
新築住宅は内窓は後付できますので、優先すべきは壁や24時間換気扇です。
24時間換気扇は、防音フードを新築の際に取付けておくと、15dB程度遮音性能がアップしますので、お勧めです。
壁が面積的に最も大きいので、新築時の防音対策は24時間換気扇と併せて「外壁側の内装壁の防音」が木造住宅にとっては最も重要です。
最近の住宅は、壁の遮音性能はD-25〜D-35しかありませんので、少なくともD-40以上になるようにすることが望ましいです。
対策としては
*発泡材の断熱材は使わない。
*ALCパネルはジョイントが弱点になるので使わない。
*石膏ボードだけでなく合板を併用する。
などの基本的な仕様を見直すだけで、遮音性能がD-40以上になります。
ここまで施工しておけば、防音室を後付でリフォームするのも、比較的容易になります。
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実例がネット上に出てこないのは、防音工事の事例がないのではなく、成功した天井防音の現場が極めて少ないことを意味しています。成功実績のない専門業者には無理だということです。
見積金額もばらつきがあり、業者によって大分差があるのは、設計仕様と使用する防音材の差です。
簡易的にグラスウールや遮音パネルを張り付けるだけの工事では殆ど防音効果は期待できません。
そんな甘い対策では無理です。
*参考:防音課題と分析(天井防音など)
例えば、マンションの上階界からの足音など重量音は、主成分が250Hz以下の周波数帯の音であり、過半が低周波(100Hz以下)騒音です。天井裏の空気層の共振や拡散する重量音が天井ボードや遮音パネルを透過してきます。
軸組下地からの固体音(軽量衝撃音を含む)も伝わります。
空気音と固体音の2種類の経路から伝播する騒音が複合されて階下などに響くので、防音対策は複雑になります。
しかも、大震災以降、天井スラブへのインサート増設は禁じられていますので、衝撃音の遮断には天井スラブとの接点をなくす工法が必要です。難易度が高いので、東京の専門業者でも敬遠します。
マンションと木造住宅には完全防音はあり得ません。出来ると謳っている業者は誇大広告です。
まずは、具体的な防音相談を依頼して提案書を提示してもらうことが必要です。設計仕様を見れば業者の実力は分かります。
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通常の間仕切り壁の遮音性能はD-20からD-25程度です。(壁の両側にPB12.5ミリが施工されている場合)
防音職人では、この普通の間仕切り壁を壊さないで、約35ミリ〜40ミリの防音施工でD-45以上の遮音性能を確保できます。
大手防音業者との差は、使用する防音材の性能と組み合わせ方、工法の違いです。
15センチ〜18センチの防音施工は遮音パネルや遮音シートを1重使用し、あとはPBとグラスウールを重ねるだけの仕様です。
*低音域と高音域の性能が良くないため、厚さだけを大きくする「マスの効果に頼る力任せの仕様」です。
そこには科学的な技術が存在しません。ただ、質量則に依存する原始的な仕様・工法です。
部屋が狭くなり、壁に荷重がかかりすぎる工事になります。
防音工事を相談される人は、複数の専門業者の提案を比較して検討されたほうが良いと思います。
*参考ページ:木造防音室
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その中にはピアノ防音室の専門業者が5社ありました。もちろん、私のような小さな自営業ではなく、大手の業者です。
ところが、提案書と総額を見ると、私が提案した防音構造より倍以上の厚さで金額も1.5倍以上でした。そのため、私の提案が採用され契約になったのですが、これは特段問題なく、普通に相見積はよくあることです。
問題はすでに工事が完了して性能不足が露見したピアノ防音室の件です。有名な大手専門業者なのに、問題を解決できないで逃げたのです。相談者は提訴したかったのですが、時間と費用が膨大にかかり、教室や仕事ですぐに使わなければならないので、仕方なく再工事を決断したのでした。
1件は防音材DIYで、ほか数件は一部内装を剥がして補修し、新たに薄型防音構造を施工して問題を解決できました。
逃げた大手業者は、ウェブサイトだけでなく、音楽専門誌にも広告を沢山出しています。
これ以上、被害者が増えないことを祈るばかりです。
ちなみに、失敗する業者は石膏ボードとグラスウール、遮音シートを多用します。
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マンションの防音設計も並行して行っていますが、私の手が回らないことと、職人が2名になってしまったので物理的に木造防音と同時並行は無理なのです。
自分の身の丈ほどの小規模な案件を中心に取り組んでいましたら、いつの間にか個人の音楽家や音楽教室(ピアノ、ヴァイオリン、小楽団、和楽器)の先生からの依頼が多くなりました。
大手の専門業者は予算的にも合わないことがあり、余計にコンパクトな薄い防音設計を要望されることが増えてきました。
木造は「適度に音を吸収して反響させるという性質」「改造しやすい可変性に富む」という特長をどう生かして設計・施工するかということが重要です。
*木材そのものが音響上のメリットがある
*可変性は比較的容易に構造的な補強が出来るので、剛性・制振性および耐久性を強化できる
しかしながら、予算には限りがありますので、費用対効果と空間を狭くしない音響・防音設計が木造には求められています。
使用する防音材の性能が高くないと薄い構造は構築できません。
*薄い防音構造=安い構造 ではありません。
この点を勘違いしないように依頼されることを希望いたします。
]]>この説明図は一般的なハウスメーカーの外壁の防音構造です。戸外の騒音が70dBとすると、この仕様で施工すると室内には30dBの騒音しか侵入しないという想定です。壁の遮音性能(透過損失)はD-40という表示になります。
しかし、この説明図の仕様ではD-40は無理だと思います。図中の外壁材はサイディングで厚さ15ミリ、空気層という表示は実は通気胴縁を指し、空気の流れる隙間です。この薄い隙間では音は減衰しません。
また、グラスウールを断熱材として壁の内部に入れても、低音と高音は筒抜けになります。
同じく石膏ボードも同様の周波数特性を持っており、低音と高音の周波数帯が弱点です。これは重ねて施工しても殆どその傾向は変わりません。
上記の仕様を実際に施工した現場で計測すると、概ねD-30〜35になります。
どうしたら、改善できるのかということですが、内装側に石膏ボードと特性の異なる材や防音材を重ねて施工するのが簡単です。
わずか15ミリの追加でD-40以上を確保できると思います。
]]>
なぜ、メーカーが計測した遮音性能が現場で想定値を大幅に下回るのかという疑問ですが、これは試験体のサイズとつなぎ目に要因があります。
鉛シートは薄い素材の中では最も比重が大きく、試験所での計測値も他の製品に比べて透過損失(遮音性能)の数値が大きいという特徴があります。
しかし、実際施工された防音室での計測値とは乖離します。これは試験体はつなぎ目の無い小さなサイズであり、現場では大きな区画でありつなぎ目が発生します。
*大半がつなぎ目から漏れていることと、素材自体が音を吸収できないので、反射しきれない物は室内の弱点か所から漏れてしまう特性があるからです。
しかも、石膏ボードに張り付けて使用すると、石膏ボードのもつコインシデンス(質量則を下回る特定の周波数での遮音低下)を解消することができませんので、想定値よりも大幅に遮音性能が低下する周波数帯が生じることになります。
防音材は製品の素材や混合して組成される成分によって、多様な製品が生まれますので、その中での製品開発は、音測定の試験所だけでなく、実際の現場や実物大実験で検証するしかないのです。
通常、コインシデンスが発生する製品は、遮音材としては想定値を下回る現象が起きます。それが現場とメーカーのデーターとの乖離です。単純な質量則では想定できない現象です。
このような現象は鉛シートだけでなく、ALC(軽量コンクリートパネル、へーベルのようなもの)でもコインシデンスが起きます。
両者ともにジョイント(つなぎ目)部分での音漏れが弱点になります。
防音材は実績のある製品を使用することが、防音設計の基本になります。それと正しい施工要領があって初めて想定通りの効果が出るものです。
]]>
・床下、外壁内部の断熱材の種類と厚さ及び密度
・床下地(大引き、梁、下地合板など)の補強
・間取計画による騒音のリスク軽減
・24時間換気の防音フード、天井裏ダクトなど配管計画の調整
以上の内容を新築段階でクリアしていれば、リフォームで改善できます。逆に言えば、上記の諸点に問題があると防音施工に大きな制約となり、工事費用がかさみます。
とくにツーバイフォー住宅の場合は、根本的な改造は新築保証の関係で無理ですので、内装部分だけで解決することになり、その分、部屋が狭くなります。
*在来木造工法の場合は、基本的に改修+防音工事は可能です。軸組補強も後付けできます。
いずれにせよ、新築の段階で出来る限り配慮しておけば、生活防音も防音室もコンパクトに施工できます。
その分、工費を節約できるうえ、部屋も余り狭くなりません。
防音対策とは特別なものではなく、基本的な事項を遵守すれば木造の場合は、なんとかなります。
]]>*大半が建築士が紹介した通販サイトの遮音パネルや遮音シートです。
既存の天井に張り付けるだけで上階からの振動騒音を半減させることは無理です。
理論的にあり得ないです。
次のページを読んでいただければ難しさが理解できると思います。
天井裏の吸音、軸組下地の絶縁・防振など複合的な対策で、ようやく半減させることができるものです。
騒音源が低い周波数ほど難しくなります。
木造の場合は大改造すれば大幅に軽減できることもありますが、通常は音源の床で防音工事をするのが定石です。
マンションの場合は、既存スラブに吊金物を増設する工事の許可が出ないので、物理的に対処できない場合があります。
とにかく、天井防音は「遮音」「防振(制振)+絶縁」「吸音」の機能を組み合わせないと効果は出ません。
]]>
プロのピアニストである依頼者は、新築される前はマンションでグランドピアノ演奏していたのですが、夜の比較的早い時間帯に、同じ建物の居住者に強烈なクレームを受けて、音を出すことが怖くなりトラウマになったようです。
そこで木造の新築戸建住宅に、夜遅くまで安心して演奏できる防音室を造ろうと計画されたのですが、最初探した専門業者の提案がどれも信頼できずに、最終的に私の運営する防音職人に相談されました。
*結果的にはピアノが24時間演奏できるレベルまで造り上げることができました。当初のご予算を守ることも出来ました。
単価的にはマンションで完全な防音室を造るよりも、新築の戸建住宅の中に造るほうが安く済ませることができます。
今回の事例では、他の専門業者の見積りの約8割の予算で、防音壁を87ミリの厚さで処理できました。
ピアノ教室にとって、部屋を狭くしないで音響・防音性能を出来る限り高めることは最優先事項です。
木造建物は、ピアノ演奏には最適な構造であると、音楽の専門家は言います。
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市販品で施工することも可能ですが、実績が少ない分、遮音性能の想定値が予測しにくいため、少し厳重な対策が必要になります。
*防音職人が使用している受注生産品であれば、予測値と実態値が余り乖離しないので、薄型の防音で対処できます。
新築は最初に業務契約をしていただかないと、使用する断熱材床下補強など確認申請や設計図に反映させる仕様を提示できません。
*24時間換気扇の製品も含めて計画しなければなりません。
遠方の現場でも、仕様書をメールで送付できます。
*契約書は郵送になります。
木造は、必ず将来、補修工事やリフォーム工事が発生しますので、メンテナンスや改変しやすい構造・仕様が望ましいです。
例えば、将来、二世帯住宅や賃貸併用住宅に改造する場合は、在来工法であれば問題なくできます。
補強したり改造しやすいのが木造在来工法の特長と言えます。
生活防音を目的としたリフォーム工事もやりやすいと言えます。
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新築の木造住宅にピアノ防音室(グランドピアノ)を造る場合、どういう構造が最適ですかという質問です。
概略を述べます。
・構造は在来工法の床下、壁内通気、柱及び梁などの軸組工法が最適
・外装材はモルタル仕上げが遮音性能が高い(※ALCは不適)
・鋼板で外装を仕上げる場合は、下地材を通常よりも厚くする
・内装材は出来る限り木材を使用する
・石膏ボードは耐火上必要な箇所のみに限定する
・断熱材はロックウール、PETウール、グラスウールの中から選定する
以上です。
24時間換気は天井裏のダクト方式で管路を長くすると音が減衰し、管路内に吸音材をはめ込むと効果的です。
*壁付けの場合は防音製品を選び、防音フードを併用する
などの諸点に留意のうえ、計画すると良いでしょう。
床材の理想は無垢材です。床下補強も重要です。
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ところが、遮音性能や近隣の騒音問題が明らかになると内覧に来た希望者は大半が逃げて行きます。
あえて問題のある物件を購入するような人は居ないからです。
私のほうも防音相談をキャンセルした人から再相談を頼まれることがありますが、本当は気乗りしません。そういう人は概算見積りの段階で、再度キャンセルする確率が高いのです。
しかしながら、現在の中古市場は東京および周辺部には大分余っているので、売却するほうも簡単ではありません。
相当値引きしないと買い手が付かないのです。
ですから、安く買い叩いた不動産会社が、防音リフォームをしてから売却するケースもあります。
中古物件を購入される方は、周辺環境を確認してから検討したほうが良いです。
騒音はマンションだけではなく、木造の戸建住宅でも少なくありません。
*参考事例:生活防音事例
今までの防音工事の事例ですと、防音職人の担当現場では問題を解決できていますので、超低周波騒音や高周波騒音、工場等の激しい振動でなければ、大半が対策可能であると思います。
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これはメーカーが偽装しているということではなく、あくまで小さな試験体を測定実験室で周波数ごとに精密測定したデーターであり、実際の大きな区画で施工する現場とは条件が異なる、これが主な理由です。
小さな区画と大きな区画では面積が違うだけでなく、固定する条件も違います。
試験体には、つなぎ目がないのですが、実際の現場では当然、つなぎ目が生じ、壁面や天井面などの軸組下地や断熱材、外装材などが施工された状態で使用するので、共振したり、隙間から音漏れしたりと、マイナス要因が複数出てきます。
また、誤った施工要領で使用された防音材は、その効果を失います。素材の持つ弱点も大きな区画では顕在化して、音漏れだけでなく共振が大きくなり音響も悪化します。
*ピアノ防音室などで問題が出るのは、そのためです。
ですから、設計・施工の実績が乏しい業者は現場での検証がないので、同じ失敗を繰り返します。
防音材の持つ相乗効果など理解できるはずもないです。とくに木造住宅など木造建物での失敗事例が多いのも、そういう背景があります。専門業者の理論は実績があって初めて裏付けられるものです。試験体のデータを鵜呑みにしてはいけません。
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■近隣環境について
・騒音源または自室から家族又は近所への接近距離について調べる。
・戸外騒音の場合は音源がどこから発生するのか概況を掴む。
・低周波騒音の場合は、近所にエネファーム、エコキュート、工場、鉄工所などの騒音源が半径数百メートル内にあるかどうかを掴む。自分で判別できない場合は、専門業者に調査を依頼する。
■木造建物の構造
・在来工法、ツーバイフォー等パネル工法など、基本構造の区分を調べる。
・床下構造(基礎、束、通気パッキン、換気口など)の詳細を調べる。
・壁内に使用されている断熱材の種類(発泡材、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー、ウッドファイバーなど)を調べる。
・外壁の外装材、内装材(サイディング、石膏ボード、ALCなど)の種類と厚さを調べる。
特に建物構造によって、遮音性能にかなりの差が出る場合がありますので、出来る限り詳細に調べる必要があります。
これは新築計画の際のチェック項目としても、押さえておくべき内容です。
防音対策の重要な留意点は、防音仕様以前の上記の内容が大半を占めています。
防音設計・計画は、以上のような内容を踏まえて検討するものです。
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通常、窓は内窓(樹脂の気密サッシュ)取付けで約15〜18dB遮断し、壁は厚さ30ミリ程度の防音施工で20dB遮断できます。
*人間の耳には施工前の音が1/3〜1/4程度に軽減されたように聴こえます。
これで、普通の生活ができます。もちろん、防音室を構築する場合はもう少しレベルアップさせます。
戸外からの騒音の主なものは、車の走行音、作業車・工作車両の稼働音、人の声、犬の鳴き声がありますが、低い周波数から高い周波数帯まで分布しているので、騒音源に応じて使用する遮音材が異なります。
最も一般的な遮音材としては、PB(石膏ボード)がありますが、低い周波数と高い周波数の遮音能力に欠点がありますので、重ねて施工しても、中間的な周波数帯の遮音性能しか向上しません。
ちなみに、窓の対策だけを勧める窓業者がいますが、これだけでは壁を透過してくる騒音を防音することはできません。
*窓業者は、住宅の防音設計は素人ですので、ご注意ください。
]]>この防音室は、比較的古いマンションを改修して構築したものです。躯体の厚さは壁が約150ミリ、床が約110〜120ミリです。
(防音職人が無料相談でヒアリングして資料をいただいたものです。その後、DIY提案で床の振動音を大幅に改善しました)
*国立でご相談をお受けした事例(ピアノ室)です。
施工前の想定遮音性能はD-35〜40で、施工後の防音室の遮音性能はD-45〜50でした。
・天井、界壁、床の内装をすべて剥してから、躯体に直接軸組を固定している。
・軸組の空洞部に厚さ50ミリ程度のグラスウールを充てんする。
・下地に厚さ12ミリ程度の合板を張り、そのうえに遮音パネルを重ねて張る。
という基本構造でした。
結果は、空気を伝わる音は、ある程度遮断できていますが、振動音など固体伝播音が階下などに響き渡り、ほとんど遮断できていない状況です。
その原因は、軸組下地が絶縁されていないことと、制振材が全く使用されていないことでした。
遮音材にシフトした防音構造であり、吸音材の厚さも薄く、遮音パネルの性能だけに依存したものです。
固体伝播音の遮音対策を疎かにした事例と言えるでしょう。
上記の仕様を考案した大手業者は、ある遮音パネルのメーカーの代理店のようで、提携会社の製品を使うことが防音工事の前提となっています。
代理店方式の防音室は自由度がなく、仕様を変更したり改善することができません。
実は上記の防音構造は約10年前から現在まで同様な工法が実施されているようです。
皆さんがご存知の大手防音工事会社+大手防音室メーカーが一緒に現場で造っている防音室の基本システムが、これです。
*遮音性能レベルに応じて防音構造を厚くするものですが、固体伝播音は余り遮断できません。
その割には、隙間から遮音欠損したり、固体伝播音(ピアノやチェロなどの振動音)が住宅内だけでなく、戸外に大幅に漏れたりします。
費用対効果から見れば、かなり無駄があるアンバランスな設計・施工です。
厚さ20センチ以上の防音界壁からの音漏れの現状を見ると、天井付近や床下から音漏れしていたり、壁内部の吸音材の性能不足によって防音効果が低い防音室もあります。
これらは、みな木造住宅の構造的な弱点や利点をあまり考慮しないで設計することや、施工要領が間違っている現場もあります。
大手住宅メーカーは施工を担当する代理店や下請けに丸投げに近く、現場でのチェックや指導をしていません。あくまで金太郎飴のような設計図を渡して防音工事を進めるだけです。
木造住宅の音楽室など防音室の費用対効果や耐久性は、木造の特性を生かすことで高まるものです。
既製品を単純に張り付ければ実現できるものではなく、快適な音響も木製品を重視することで得られます。
間違っても鉛パネルやALCで防音室を造ってはだめです。
木造建築の音響・防音設計のマニュアルが存在しない、既製品の費用対効果が低いなど業界全体の問題がある中で、木造住宅の防音室は高い買い物になっているようです。
*参考:木造住宅・防音室の事例
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それは遮音シートと石膏ボードを重ねて施工する業者と同じくらいリスクがあります。
木造住宅の界壁や床は、空洞部分が多い上に通気を確保する工法ですので、中途半端な対策では対応できないうえに、つなぎ目などの弱点を解消しないと、あまり防音効果は出ません。
パネル工法は比較的高い周波数(女性の声や携帯などの稼働音)の遮音能力が低く、費用対効果も良くないと思います。
それと界壁に硬質なパネルを重ねても共振する周波数が解消できないため、思ったほど遮音効果が出ない場合があります。
ちなみに石膏ボードだけを重ねても、弱点となる周波数帯の傾向は余り改善できず、低い周波数のほうへ少しずれていくだけです。
これは実際に東大の研究所がメーカーに委託された実験で証明しています。
]]>・通気パッキン工法(土台と基礎躯体の隙間)による隙間から床下を経由して音漏れがする。
・外壁内部に発泡材断熱材が使用され吸音性がない。(逆効果になることもある)
・石膏ボードやALCパネルによる隙間からの音漏れ(主として高い周波数と固体伝播音)が目立つ。
また、石膏ボード、グラスウールによる偏った周波数の遮音性が、低い周波数と高い周波数の防音能力の弱点につながっています。
*昔の在来工法のようなモルタル仕上げ、漆喰(土壁を含む)などが使用されている時代の住宅のほうが壁の遮音性能が高い。
その時代、特有の弱点を理解していれば、適切な防音設計によって生活防音は確実に出来ます。
ALCパネルは費用対効果が低く、発泡断熱材は遮音上のリスクが高いため、お勧めできません。
新築の段階から適切な設計・施工を行えば、防音室だって比較的廉価で実現できます。
残念ながら、私の相談事例では、竣工した段階でコンサルティングをお受けすることが多く、費用的な無駄が出るのですが、改善するためのリフォームは、木造住宅であれば可能です。
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私が防音設計の勉強を始めた約22年前には、住宅の防音設計ができる専門業者が非常に少なく、木造に限定すると東京でも10社に満たない状況でした。
*しかも大半がマンションの防音室を専門とする業者であり、木造住宅の生活防音やピアノ防音室を得意とする業者は、私の知る限りではほとんど存在していませんでした。
私が独立開業した約13年前においても、同様であり、マンションの生活防音でさえ対処できる業者はなく、私自身施工業者を探すのに苦労しました。
ウェブサイトを探しても、木造住宅の防音事例、防音室の事例はほとんど公開されておらず、大半がスタジオ防音室や高額な音楽家の防音室の事例です。
一般住宅の小規模な防音室に対処できる設計仕様や工法が出てこないのです。このような背景があり、防音職人の相談会の問合せが増えているのだと思います。
一方、約10年間で「自称・専門業者」と呼ばれる建築業者が急増し、林立状態になりました。老舗は人材が流出し、枝分かれし、看板だけが残っています。本当に希望する専門家を見つけるのが難しくなっています。
まずは、一般の方は防音相談で具体的な実績などを確認するところから始めるしかないでしょう。
それと木造の在来工法などの特長を生かすような手法を得意とする専門家が、木造住宅にはふさわしいという点をご留意ください。
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