当ブログで投稿してきた内容につきましては、防音職人の問合せページからご連絡いただければ、できる限りメールでご返事いたします。
なお、防音職人からの業務連絡など「お知らせ」は、次のブログで投稿しています。
]]>
大別すると、「木造防音室(主に楽器・オーディオ)」「住宅の生活防音(主に戸外からの騒音対策)」になりますが、前者は自分が出す音が戸外に漏れるのをできる限り小さくすること、後者は戸外からの車や近所の生活音が聴こえないようにすることを目的とした対策です。
手法は、防音工事によるもの、施主のDIYによるものがあり、使用する防音材は共通していますが、新築の場合は、これに壁や床下内部に入れる吸音材が重要な役割を持っています。
問合せの最初の段階は、提案書の検討と概算見積になりますが、最初から無料相談に拘る人の大半は連絡が途絶えました。
一生の買い物を、無料相談で済ませようとする価値観そのものが、防音設計の理念と合いません。
しかも、新築の場合は、新築の施工業者の設計や工事計画に間に合うように準備しないければ実現できませんので、無料相談で時間ばかり浪費する人は、結局、目標を達成することができずに消えていきます。
一方、最初から契約を前提に提案書(防音計画など)と見積検討に前向きに取組んだ案件は、大半が契約となり、契約現場の約8割が11月までに完成し、残りの約2割の現場は、来年(2022年)の春以降に着工する予定になりました。
要するに施主(依頼者)の考え方と努力によって決まるのです。
完成した新築住宅や木造防音室は、当初の目標を達成することが出来、無事に入居されています。
*参考記事:防音職人note
]]>
問題は、図面や情報などの詳細がない段階で、いきなりメールや電話で「解決策を教えて下さい」という問合せの仕方です。
私のような民間の専門業者は、有料コンサルティングや防音設計が本業ですので、地元の相談者以外の相談は、あくまで初回限定のアドバイスになります。
メールへのご返事でさえ、詳細を検討して既往の事例や防音設計の分析資料などを勘案することになりますので、時間がかかります。
電話で質問されても即答できる事項は少ないと思います。
まずは、概要をホームサイトのメールフォームから送信していただいた後で、詳しい資料をご提供いただくのが無難です。
少ない判断材料では、正確なアドバイスや対策方針は提示することができません。
また、いきなり連絡が途絶えるような人には、再度のご相談にはお応えできません。防音職人では誠実な相談者・予約者に時間を使いたいと考えています。
「時は金なり」です。貴重な時間をお互いに無駄にしないためにも、ご配慮いただきたいと思います。
※必ず、ページ内の注意事項はお読みください。匿名性のある問合せには返信できない場合があります。
]]>
防音工事は依頼者が地元の工務店と契約されて実施されたものです。私の担当は防音設計と説明図の作成、専門的な防音材の納品でした。(防音材は施工を担当する工務店の事業所にメーカー直送で納品)
依頼者にはPDFで防音施工の設計図を納品し、転送していただいた画像を私のPCで確認しながら、電話のやりとりで補足説明をしました。無事に、想定以上の防音効果を出すことができたので上出来です。
テレワークでも防音工事のサポートはできるという事が実証できました。
今回の件は、戸境壁から隣世帯の声やテレビの音が筒抜けなので、出来る限り音漏れを小さくしたいというリクエストでした。
防音工事が完了した後、依頼者からの報告では、夜でも殆ど聴こえないレベルまで音漏れが小さくなり、自分たちの部屋で家族と会話していると、全く気づかないということでした。
私の提案した防音設計仕様は抜群の費用対効果でした。しかも、普通の工務店でも問題なく施工できるように設計図と施工要領を納品したのが良かったと思います。
]]>
問題は石膏ボードや遮音パネルを透過してくる重量音対策です。主に30Hzから250Hzの周波数帯を主成分とする騒音です。
重い足音や衝撃音、グランドピアノなどの重低音が該当します。マンションは実は、これらの重量音に弱い構造であり、二重天井やGL壁などを共振させながら透過してきます。
防音材の重ね張りや遮音パネルの張付け施工は、振動音を遮断できません。空気層の共振現象は空気層の内部で対処しない限り大幅に軽減させることは出来ません。
特に低い周波数の音を吸音できる吸音材は限定されており、ある一定の密度と厚さが必要です。これはメーカーの実験データや担当した現場の実測データをもとに、私はすでに分析済みです。
また、低周波音を軽減できる遮音層は一定の面密度と厚さなどの要件を満たさない限り、成立しません。遮音パネルはこれと同等の製品を作っても、天井面に固定すると危険です。
*固定できても振動音は遮断できません。それは防音工事と同様な厚さがないと減衰しないからです。
防音工事に使用する防音材は面密度が大きく、天井の軸組を補強しないと地震などの負荷がかかると危険です。とくに最近のマンションは軽鉄天井が多く、余り重いボードや遮音材を施工することが出来ないのです。
同じく、木造建物の天井も補強しないと重い防音材は使えません。基本的にパネル工法は軽量音対策用と考えるべきです。
ちなみに、パネル工法の弱点は、つなぎ目からの音漏れです。このため遮音欠損が生じるため、軽量音の遮断性能も周波数が高くなると欠損が大きくなります。要するに低い周波数と高い周波数に対して弱点があるということになります。
]]>
主な理由は、重量音は二重天井の空気層および下地・ボード全体を共振させながら透過してくるからです。天井面に遮音材やパネルを重ねても絶縁できないだけでなく、簡単に騒音が透過してきます。
工法そのものがマッチしていないのです。
パネル工法で効果が出るのは、軽量音だけです。それですら完全な遮断は出来ません。
マンション二重天井は重量衝撃音を増幅させる共振体となるという特性があり、実用的な天井裏の深さ10センチから20センチ程度の薄い空気層では減衰しません。
二重天井の重量音は本格的な防音工事で初めて減衰させることができるものですが、構造によっては施工そのものができない場合もあります。マンションは天井裏の配管が邪魔したり、梁型や既存壁の状況によっては構造体を支える下地として脆弱なこともあり、確実に施工できる保証もないです。
要するにマンション天井は新築の段階でないと生活防音の性能を向上させることが難しいのです。マンションリフォームは木造に比べて制約が多く、物理的な障害が多いです。
最もお金のかかる防音工事であるうえに、防音効果そのものを保証できない大変な施工です。
本来は音源である上階の床と受音側である階下の天井の両方で対処すべき構造です。
防音職人における実績においても、リフォーム工事の際に欠陥物件であることが判明して、防音工事完了後の精密測定でも、効果が出ない周波数帯が生じることもありました。
*天井を解体しないと見えないことが多いのです。
また、防音設計の基本を学んでいない業者が対処できるようなマンション物件はないと思います。騒音発生のメカニズムを説明できないような業者がやれるような対策はないです。
]]>
大半が先に窓に内窓を付けても余り効果がないということを最初に言われます。これは窓業者の誇大広告にも責任があります。
まず、住宅内部への騒音の侵入経路はなにかということを考える必要があります。昔の木造住宅は窓と床下が弱点でしたが、最近の木造住宅は窓だけでなく壁面そのものが弱点になっています。それと給気口や24時間換気扇からも音が侵入してきます。
*床下は基礎パッキンから音漏れします。昔の住宅は床下換気口から音が漏れていましたが、壁面は最近の住宅よりも遮音性がありました。
結論から言うと、低周波騒音以外の騒音は、窓と壁面を防音すると大幅に減少します。24時間換気扇も防音タイプに交換すると効果的です。
木造住宅の防音対策において、窓だけ防音することを提案する業者は素人です。住宅の防音設計の知識そのものがないことを示しています。
繰り返しますが、木造住宅の防音対策の優先は「窓と壁」です。次に24時間換気扇、床の順です。もちろん、1階の場合は壁・窓と一緒に床面や天井も防音施工することがベストですが、予算には限りがありますので、優先順位を整理する必要があります。
]]>
そして、デッドスペースが生じますので、その隙間の対策も考慮する必要があります。湿気がたまるとカビの原因になります。
私の相談者においては、音響が良くない、耳が疲れて不快になるという感想をよくお聞きします。
また、階下の居住者に音漏れが酷いというクレームを受けることがあり、DIY対策で何か出来ないかという相談を受けます。
ボックス型防音室やマンションの床の弱点は、床の防振構造です。そして表層の仕上げ材の反射が強いため、耳が疲れるのです。
では、購入した防音室を改善できるのかということですが、物理的には可能です。
比較的簡単な方法で対処できますが、まずはクレームを言われた居住者にヒアリングをして、どのような音が気になるかを確認してから対策を検討したほうが良いです。
*例えば、低い重い衝撃音のような感じとか、具体的な印象を聞くべきです。
また、マンションにおけるピアノ防音室工事のクレームの多くは、床とGL壁を介した音の伝播です。
ただし、築年数や構造的な制約で物理的に限界がありますので、演奏時間帯に留意するとともに、DIYで追加対策を行いながら、階下の居住者と相談する方が解決しやすくなります。
]]>
とくにGL壁は、約63Hzから3000Hzの周波数帯において遮音低下が起きます。これはGL団子と石膏ボードの隙間における共振と石膏ボード・GL団子のコインシデンスが合わさって起こると考えられています。
*通常の石膏ボードのコインシデンスは約2000Hzから3000Hzにおいて発生し、ボードが厚くなると低い周波数の方へずれていく傾向があります。
要するに硬質の遮音材を重ねても、騒音を改善することは出来ません。
また、根本的な防音対策を行うには、GLを撤去して、躯体から絶縁した遮音壁を別途構築するしか方法はないです。それは隣接する世帯のGL壁には手を加えることができないので、音の被害者側で防音性能を高めるしかないのです。
防音工事は特殊な仕様と施工要領、および専門的な防音材が必要になりますので、都内でも確実に防音効果を上げることができる専門業者は非常に少ないです。
天井からの騒音が目立つと思っていたのが、実は壁・柱等から音が回り込むほうが大きいという現場もあります。
*大半がGL工法で施工されています。
GL壁の騒音問題は古くて新しいと言えます。近年のマンションでも起こるからです。
]]>
主な理由は、市販の足音対策マットは、軽量音対策製品ですので、ピアノの重量音には殆ど効果が出ないのです。それと床面そのものが遮音性が低ければ、緩衝材・絶縁材だけでは防音対策になりません。
ピアノの重量音対策には、防音カーペットは役立ちますが、専門的な防音材を重ねて使用することが基本です。
コロナ禍などにより、自宅で過ごす時間が増え、楽器などを使用する時間も増えると思います。
とくにマンションでは、階下だけでなく隣接する世帯すべてにピアノの音が伝播しますので、床だけではなく、壁面の対策も必要です。また、消音器を付けるなど市販品の活用も役立つことがあります。
くれぐれも、ご注意なさってください。
防音職人では、プロ用の防音室に使用できる防音材をホームサイトに掲載していますので、ご覧ください。
床の重量音対策のモデルも例示しています。
もちろん、木造住宅にも適用できるモデル対策です。その他、色々な実例が掲載されていますので、合せてご覧ください。
]]>
今まで約26年間の体験で、数多くの防音材を試して、効果と経年変化を観察しています。※自宅のマンションで。
*並行して担当する木造住宅やマンション、防音室において音測定をしたり、依頼者の体感報告を資料としてストック。
新しい防音技術は、防音材と一般的な建築材料を組み合わせて生まれるものです。そして、建築以外の先端産業や土木・機械工学などの分野において開発された防音材を建築材として製品化している特殊なメーカーと取引してきました。
長い年月と経費を費やしながら、数多くの実践的経験のほか、相談業務を通じて得られた実例やデータを加えて、総合的に分析してきました。
このような努力で選びぬいた製品が、防音職人のホームサイトに掲載されています。
一方、通販業者や後発の自称専門業者が「十分な防音効果がある」と宣伝している製品の根拠は、実例をもとに明らかにはされていないことが多く、信頼性に乏しいものが大半です。
*実際に相談者からもたらされる実例において、だめな防音材が非常に多いことを知らされます。
*防音職人の現場で市販品を使用する中で問題が発生して、追加の専門材を自腹で手配したこともあります。
市販品の多くは実際の現場で防音効果が検証されておらず、あくまで小さなサンプル材を試験室で音測定しただけです。しかも空気音に対する透過損失や吸音率のみの計測ですので、固体音に対する効果は未知数です。
これが防音製品の実態ですので、防音ドアや防音ガラスについても経験豊富なメーカーと取引する必要があります。
]]>
この中でも、上階からの足音など重量衝撃音、GL工法の梁型・壁面への音の伝播が同時に起きているケースです。
上階の足音の主成分は二重天井の場合は、約30Hzから100Hzの低周波音および250Hz以下の衝撃音です。これらの騒音は二重天井の天井裏空気層の共振増幅と軸組下地への固体伝播が複合されて階下に響きます。
要するに二重天井は重量音や低周波音が増幅される「共振体」になります。このため、表層に防音材を貼り付けるだけの簡易的な対策では防音効果は殆ど出ません。
二重天井の防音設計ができる専門家は、東京でもごくわずかしか居らず、現役の技術者・専門家に限定すると、2020年12月現在わずか5名以下という状況です。
このうちの5名の一人が私であり、もう一人が取引先の建築士です。この建築士の知人を含めて3名だけが現役として、マンション二重天井の防音設計が可能です。
これは、東日本大震災以降に、天井スラブへのインサート増設が許可されなくなり、特殊な工法・仕様が必要になったため対応できる専門家が激減したのです。
しかも、防音工事を担当する建築会社が更に少なくなり、東京でさえ現実問題として、マンション天井の防音工事ができなくなっています。
ちなみに、通販業者がホームページに「天井面に防音材を貼り付ければ騒音が気にならないレベルに低減できます」と記載しているのは、誇大広告であり、ほとんど詐欺です。ご注意ください。
]]>*参考→グラスウールと発泡材の比較
吸音断熱材の選択だけで、吸音性能に大きな違いがあり、発泡断熱材を使用するとロックウールやグラスウールに比べて、防音性能が10dB程度低くなります。
10dB程度、遮音性能が低下すると、人間の耳には音漏れが倍近く大きくなるように体感されます。ですから、吸音断熱材の選択は木造住宅には極めて重要なのです。
遮音材で最も一般的で有名なのが「石膏ボード」「遮音シート」です。
石膏ボードは、概ね500Hzから2000Hzの周波数帯の遮音性が高い素材ですので、低音域と高音域において弱点があります。
この弱点を補うために、専門的な防音材(主に遮音材)が必要ですが、市販の遮音シートは殆ど役に立ちません。
*参考→遮音シート・遮音マット
市販の遮音シートは面密度が約2.0kg/m2から3.0kg/m2であり、石膏ボードよりも面密度がかなり小さいため、重ねて施工しても相乗効果は出ません。
*このことは日本音響学会が実験で確かめています。
理想的な遮音材は、高比重で柔軟性のある素材です。素材としては合成樹脂、遮音ゴム(リサイクルゴム素材を含む)、ブチルゴム、アスファルト基材が適していますが、遮音ゴムは経年劣化が早いので、使用する箇所や用途には注意が必要です。
*ブチルゴムは単価が高く、施工しにくい面があるので、主に帯状の気密テープや遮音テープに使用されることが多いです。
]]>この場合、隣の世帯からの振動音や声・テレビの音などが聴こえる場合がありますが、これはGL工法による典型的な弊害です。
*マンション自体が欠陥住宅ということではなく、設計仕様が間違っているということです。
旧建設省時代に、マンション事業者や建築士に向けて通達のような指針があり、マンションなどコンクリート構造の共同住宅(集合住宅)の戸境界壁には、GL工法は使用しないように伝えられた経緯があります。
しかし、その後、徹底したマニュアルが公表されていないためか、マンションデベも建築士も同じ間違いをしています。
GL工法を使用すると、コンクリート素面の状態よりも10dB以上の遮音低下が起きます。
要するに本来のコンクリート躯体の遮音性能よりも大幅に防音効果が低下することになります。
GL壁の上に鉛のシート厚さ1ミリとPB9.5ミリを重ねても殆ど効果はありませんが、専門業者や建築士が知らないでやってしまう典型的な失敗例です。硬質な遮音パネルを重ねてもコインシデンスによって、遮音低下が起きる周波数帯が生じます。
コインシデンス周波数が低い方へずれるので、今まで気にならなかった周波数の音が気になるようになる場合もあります。
やってはいけない、GL壁の防音施工です。
これは質量則のみで防音対策を考えると、こういう失敗が起きます。防音設計の基本がわかっていない業者がやってしまいます。
既存のGL団子を撤去して防音構造を構築するのがベストですが、費用などの面で実施できない場合は、制振材と遮音材を重ねて施工します。※振動音の場合は、重ねるだけでは余り効果は無いです。
]]>*防音材を探すときも同様ですが、私の問合せを見る限り、施主が探した情報を建築士に提供しているケースが多い。
防音設計に関する情報は、むしろ建築のプロよりも施主(専門外の依頼者)自身がネットで探してから、建築会社や建築士に相談することが多いようです。それだけ建築士は探す時間的な余裕がないのと、基本的な知識を有していないので探し方を知らないと言えます。
防音設計の課題は、業界の関係者自体が専門的な知識や経験を持っていないこと、専門家自身が現実的な対策や工法を確立できていないことが少なくないからです。
我々専門家も、費用対効果や現実的な工法に合致する設計理論を構築している発展途上と断定しても過言ではないと思います。
それらの課題の多くが、「木造防音」と「マンションの二重天井防音」に集約されています。実際の施工実例がネット上に殆ど出ていないことからも明らかです。取り組みやすい課題や事例、開発しやすい製品はネット上にたくさん出てきます。
私自身も25年以上の防音設計の経験があるにも関わらず、もっとグレードアップさせたいという課題を持っています。例えば大きなスパンの二重天井、薄い構造による低周波・重量音対策などです。
新しい理論や工法がないか、時々ネットで検索しますが、たまに特許申請の研究結果の概要が出てきます。ですが、それらは現実的な住宅や建築空間において使えないような机上の空論です。膨大な空間や吸音層、過大な遮音層などあり得ない工法です。
*研究者の大半が音響学会や建築学会所属の企業の社員、大学の研究機関です。
研究者でさえ解決に時間がかかる課題や工法を建築士や建築会社が設計できるとは思えません。それが建築業界の実情です。
大規模な音楽ホールやオフィスビルで適用できる防音構造は、一般的な木造住宅やマンション、木造建築物にはそのまま使うことはできません。
*参考:防音対策の20年史
]]>