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住宅の天井からの騒音対策2020.06.02 Tuesday
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防音設計および工事において、難易度の高いものが天井防音です。これはマンションでも木造住宅でも共通している課題です。
通常の天井防音対策は、上階の床防音とセットで施工するのが定石ですが、マンションは加害者側の上階床の施工は同意が得られないことが大半なので、被害者側の天井などを防音工事で対処することになります。
木造住宅においても、上階床の防音施工は床の厚さを改変することで建具などを造り直すことになり、費用がかさみます。
このため、マンションと同様に階下の天井だけで防音施工を行うケースが出てきます。
ですが、音源で対処したほうが防音効果は出しやすく、天井の防音工事もやりやすくなります。天井の対策を単独で行うことが最も難易度の高い設計・施工ということになります。
成功事例も研究データも少なく未知数の部分が多いので効果が保証できない対策と言えます。
また、木造においても、木造軸組在来工法とツーバイ工法では難易度が異なります。
前者は比較的改造ができますが、後者は既存構造を解体して造り直すことが殆どできないことが多く限界があります。
いずれにせよ、上階からの振動を伴う騒音対策は、新築でもリフォームでも、確実な工法が確立されていません。
今後、さらに実例を検証して分析を続けたいと考えており、私の方のチームでさえも判断材料が不足していると言えます。
私も25年以上、分析・考察を続けていますが、防音設計の課題は残されています。