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防音材の遮音効果の違い・音漏れ2018.06.09 Saturday
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相談者や電話での問い合わせの中で多いのが、市販の防音材と防音職人で扱っている製品との効果の違いです。
なぜ、メーカーが計測した遮音性能が現場で想定値を大幅に下回るのかという疑問ですが、これは試験体のサイズとつなぎ目に要因があります。
鉛シートは薄い素材の中では最も比重が大きく、試験所での計測値も他の製品に比べて透過損失(遮音性能)の数値が大きいという特徴があります。
しかし、実際施工された防音室での計測値とは乖離します。これは試験体はつなぎ目の無い小さなサイズであり、現場では大きな区画でありつなぎ目が発生します。
*大半がつなぎ目から漏れていることと、素材自体が音を吸収できないので、反射しきれない物は室内の弱点か所から漏れてしまう特性があるからです。
しかも、石膏ボードに張り付けて使用すると、石膏ボードのもつコインシデンス(質量則を下回る特定の周波数での遮音低下)を解消することができませんので、想定値よりも大幅に遮音性能が低下する周波数帯が生じることになります。
防音材は製品の素材や混合して組成される成分によって、多様な製品が生まれますので、その中での製品開発は、音測定の試験所だけでなく、実際の現場や実物大実験で検証するしかないのです。
通常、コインシデンスが発生する製品は、遮音材としては想定値を下回る現象が起きます。それが現場とメーカーのデーターとの乖離です。単純な質量則では想定できない現象です。
このような現象は鉛シートだけでなく、ALC(軽量コンクリートパネル、へーベルのようなもの)でもコインシデンスが起きます。
両者ともにジョイント(つなぎ目)部分での音漏れが弱点になります。
防音材は実績のある製品を使用することが、防音設計の基本になります。それと正しい施工要領があって初めて想定通りの効果が出るものです。