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固体伝播音対策を疎かにした防音室の事例2017.09.07 Thursday
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この防音室は、比較的古いマンションを改修して構築したものです。躯体の厚さは壁が約150ミリ、床が約110〜120ミリです。
(防音職人が無料相談でヒアリングして資料をいただいたものです。その後、DIY提案で床の振動音を大幅に改善しました)
*国立でご相談をお受けした事例(ピアノ室)です。
施工前の想定遮音性能はD-35〜40で、施工後の防音室の遮音性能はD-45〜50でした。
・天井、界壁、床の内装をすべて剥してから、躯体に直接軸組を固定している。
・軸組の空洞部に厚さ50ミリ程度のグラスウールを充てんする。
・下地に厚さ12ミリ程度の合板を張り、そのうえに遮音パネルを重ねて張る。
という基本構造でした。
結果は、空気を伝わる音は、ある程度遮断できていますが、振動音など固体伝播音が階下などに響き渡り、ほとんど遮断できていない状況です。
その原因は、軸組下地が絶縁されていないことと、制振材が全く使用されていないことでした。
遮音材にシフトした防音構造であり、吸音材の厚さも薄く、遮音パネルの性能だけに依存したものです。
固体伝播音の遮音対策を疎かにした事例と言えるでしょう。
上記の仕様を考案した大手業者は、ある遮音パネルのメーカーの代理店のようで、提携会社の製品を使うことが防音工事の前提となっています。
代理店方式の防音室は自由度がなく、仕様を変更したり改善することができません。
実は上記の防音構造は約10年前から現在まで同様な工法が実施されているようです。
皆さんがご存知の大手防音工事会社+大手防音室メーカーが一緒に現場で造っている防音室の基本システムが、これです。
*遮音性能レベルに応じて防音構造を厚くするものですが、固体伝播音は余り遮断できません。