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遮音シート・石膏ボードと壁防音2013.02.12 Tuesday
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数年前から、遮音シート(厚さ1.0〜1.5ミリ、面密度2.0〜2.5kg/m3)とPB(石膏ボード)を重ねただけの防音工事の問題について、相談を受けることが多くなりました。
一番多い例は、マンションの戸境壁などのGL(又は胴縁二重壁)壁や、木造(戸建、建売)住宅の壁に遮音シートを張り、その上から石膏ボードを重ねて張り、クロスで仕上げた対策です。
殆ど遮音効果は体感できず、施工業者に対し、調停などで再工事などを要求したり、提訴を前提とした交渉を行った人が居ました。
*その中の1つは、私と提携先の提示した調査結果と提案を受け入れ、和解されました。
また、音響学会の実験では、上記の遮音シートはボードに密着して重ねても、実験データでは殆ど遮音効果の向上が数値に表れず、プラス効果がないことが証明されました。
私も自宅マンションの戸境壁に遮音シートを16年前に貼り付けて、防音効果を現在に至るまで観察していますが、耳では全く遮音効果を体感できませんでした。
おそらく、遮音シートよりも石膏ボードのほうが圧倒的に面密度が高く、遮音シート自体に制振性が乏しいため、効果が出ないのだと思います。
ですから、シート状の遮音材を使うには、面密度と制振性が高い製品を選ぶ必要があると思います。
遮音シートや石膏ボードを重ねるだけの防音工事を業者が行う理由は、経費が安い、防音の知識がないなどが考えられます。
もちろん、依頼者の御予算が足りない場合もあるでしょうが、その場合は具体的な問題を説明してからお受けしたほうが良いと思います。
ちなみに石膏ボードを重ねて得られる遮音効果は、主に250〜1200Hzの周波数帯に限定されるようです。
低音と高音域が弱点になるわけです。