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マンションの二重床は防音などに有利なのか2017.02.09 Thursday
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同じ構造でスラブの厚さが等しいマンションにおいて、二重床工法は直貼り床工法に比べて、防音対策や間取り変更(リフォーム)に有利なのか。
*建築士のコメントによるウェブサイトでは有利であると断定しているページがあります。
まず、間取り変更は基本的に二重床を解体して造り変えることになるので有利とは言えないです。これは現在の工法が防振ゴム脚でベースパネルを支える構造になっているからです。
既存の二重床の上に直接間仕切り壁を造ると、床の振動を壁が拾ってしまい共振しますので、階下への生活騒音が余計に目立つようになる場合があります。
*遮音性能に配慮する場合は、いったん二重床を解体してから間仕切り壁を造り、壁際を絶縁してから二重床を新たに構築します。
この点、直貼り床工法は、防音材を床に挟んでから間仕切りの下地をビス留めして、天井に接続して固定します。既存床材を剥がさないで重ねて施工することも可能です。
ただし、水回りを移設すると床に段差が生じ、バリアフリー構造にはなりません。
最も良い工法は、防振根太工法による二重床システムです。床下に水回りなどの配管を通します。バリアフリー構造にできます。
この工法の難点は腕の良い大工を必要とするため、人件費がかかります。
ちなみに、現在の二重床工法は重量衝撃音に弱く、二重床そのものが共振体になるため、可聴域の低周波騒音が発生しやすくなります。ピン構造のように支持脚で支える構造のため、真上に足などによる強いインパクトを受けると、鈍い衝撃音が響き、階下に伝わります。これが現在のマンションの遮音上の弱点の一つです。
これとGL工法の弱点が複合化されて生活騒音の問題が生じるわけです。
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住宅の床防音(マンションなどDIY対策)2016.12.20 Tuesday
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住宅の床防音ならDIYでも対処できる場合が多いです。
それは木造住宅でもマンションでも可能ですが、自分が出す音を軽減するのか、階下から伝わる騒音を抑えるのかで手順や内容が異なります。
今回は最近相談を受けて効果が出た方法を概略説明します。*階下から伝わる騒音を抑える場合
まず既存床に絶縁材(制振フェルトなど)を敷き詰め、その上に高比重のアスファルトマットをのせつなぎ目を気密テープでシールします。
次に遮音ゴムマットをのせ、同様に気密テープでシールし、最後にタイルカーペットなどを敷き詰めて完了です。
この対策で騒音が半分から7割程度軽減されます。
とくに振動騒音(固体音)に効果的です。すでに古いマンションや木造住宅での実例があり、相談者自らがDIYで対策したものです。
フローリングにこだわらなければ、寝室などの床に行うといいでしょう。
なお、床暖房がある場合は、今回の対策は適用できません。
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マンションで多いのが足音騒音のクレーム2016.01.04 Monday
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正月やお盆休み、大型連休で普段顕在化しないマンション上階からの生活騒音が急に気になることがあります。
高齢者世帯だから普段静かに生活しているところへ、息子・娘家族が遊びに来て、孫(子供)が走り回り、階下の居住者から注意を受けることがあります。
また、赤ちゃんが成長して保育園や幼稚園に行く頃には体重も増え、小走りするだけで、予想外に階下に足音などが響くことが多くなります。いままで何も言われなかった階下の居住者より急にクレームの手紙や管理組合を通じて注意を受け、防音職人へ相談されるケースが毎年のようにあります。
*なかには、状況が改善されなければ、階下の居住者から提訴するとまで言われたご家族の相談例がありました。
しかし、住宅ローンや子育ての費用で手一杯であり、とても床の防音工事を行うことができないというケースが大半です。
でも、DIYで対策する方針であれば費用的にも手の届く内容で実施することが可能です。
→足音のDIY床防音(制振フェルトとカーペットによる対策)
昨年(2015年)は、同様なケースで生活騒音を大幅に軽減できた事例がいくつかありました。
防音職人では、今年も同様なDIYを含めて無料相談をお受けする予定ですので、お気軽に御問い合わせ下さい。
→相談・問合せページ
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マンションの床防音を左右する梁・二重床2015.10.16 Friday
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「マンションの床や天井の防音性能に梁は関係ない」という建築士が自称専門家として、マンションの騒音対策の留意点に言及しています。
これは間違いです。固体伝播音の経路・共振、重量衝撃音の特性や周波数について無知だから、このようなことを言います。
梁の位置と区画面積により、床スラブの剛性は左右されますし、梁自体がGL工法や軽鉄・木軸組に囲まれていたら、重量音の共振体として作用するからです。
上記のような建築士は、二重天井自体が重量衝撃音の共振体になってしまうリスクそのものを知りませんので、大半は軽量衝撃音の対策しか語れません。しかも防振ゴム支持脚による二重床のシステムが軽量音対策であることや、重量衝撃音にはマイナスに作用することも知りません。
中途半端な知識をネット上で振り回すと、多くの人が混乱し、誤った情報を拡散してしまうリスクがあります。
現在のマンションが抱える構造的な弱点や建築士の無知が、生活騒音の問題を複雑化しています。
また、可聴域の低周波騒音がマンションにおいても身近な存在であることを認識しなければなりません。
ちなみに、適正な防音材を施工するのであれば、現在の二重床よりも在来の軸組み工法のほうが、重量衝撃音には有効です。
*ということはグランドピアノ防音室にも共通する話ですね。
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床の簡易防音・DIY(マンション)2012.12.24 Monday
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最近、天井防音と床のDIY対策を相談されることが増えました。
天井防音は、上階からの騒音を被害者側が最後の手段として検討するものですが、上階の居住者が床にカーペットや防音材を敷いて対策を行ってくれれば、問題は大分改善されるはずです。
床のDIY防音(誰でも簡単に出来るモデル提案)
とくに、防音職人では、上階の居住者と相談して、うまく付き合うことを推奨しています。人間関係が構築できれば、DIYの提案も比較的スムーズに受け入れていただけると思います。
制振フェルトなどのDIY防音材を購入してプレゼントすれば、なおさら、うまく行くケースが増えるでしょう。
マンションの騒音対策は、半分は良好な人間関係を作ること、建物の構造的な問題を説明することで解決できます。
これに加えて、天井防音など工事を段階的に実施すれば非常に効果的です。
床の防音工事は建具を解体するなど、結構大掛かりになるので、天井と同様に大変です。床の対策はDIYでもかなり防音効果を出すことが可能ですので、実現性が高いのが大きなメリットです。
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ピアノ室(マンション)の床防音2012.05.06 Sunday
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この連休中に、マンションのピアノ室の床防音対策に関する御問い合わせをいただきました。
簡易防音をご希望でしたので、お奨めの防音材とDIYの留意点をご返信しました。
よく、防振ゴムのマットは有効でしょうかと聞かれますが、もちろん効果はあります。しかしながら、臭いが気になる方は、メーカーや通販サイトなどに、十分に確認することが大切です。
また、グランドピアノの場合は、けっこう重い・低い音が振動して、遠くまで伝播しますので、出来れば、耐久性のある制振材を2種類併用することが望まれます。
簡易防音でも、床対策の場合は、防音工事に負けないくらい、防音効果を出すことが可能です。色々と工夫すると、DIYでも十分です。
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マンションの足音対策(床防音)2012.02.16 Thursday
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通常の防音工事は費用的に無理だとか、建具の段差が生じるので難しいなどの理由で諦めるケースがあると思います。
防音職人の相談では、DIYで対策ができる防音材の提案も行っています。次のリンクをご覧ください。
*防音材(マンションの床・ピアノ)
既存のフローリングなどの床材に敷くだけで、振動騒音をかなり軽減できるので、費用対効果は高いと思います。
御手持ちのカーペットも活用できます。
また、ピアノの振動音対策にも有効ですので、床に関しては、DIYでかなりの効果を出すことができます。
既製の防振台や高価な遮音マットに比べ、振動音に特化して開発された制振フェルトがお奨めです。ピアノ防音では、遮音マットRを併用すると幅広い周波数の音を軽減できます。
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二重床の防音2010.05.16 Sunday
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昨年から今日現在までの担当案件と提携先の事例を勘案すると、マンションの二重床の防音性能について、次のようなことが検証できました。
*軽量衝撃音については在来工法も置き床工法も効果がある。
*重量衝撃音については、在来工法の防音仕様のほうが効果的である。
また、グランドピアノなど重量物の耐久性が高く、補強しやすい。
置き床工法による防音を、大半の業者が選択する理由は
*具体的なノウハウがない。
*施工が面倒でコストがかかる。床鳴りがしやすい(防音性能とは無関係)。
このようなことが、ほぼ分かりました。ここでも施工上の難易度によって安易な方向に専門業者が向かう理由があり、利益を優先させた結果が伺えます。
置き床工法は、大工職人でなくても施工できるメリットが業者側にあるのですが、これは施主側には関係のないメリットです。
もちろん、置き床タイプでも重量衝撃音の改善は出来るのですが、手間が相当かかるという不利な面もあるようです。
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二重床の振動音対策の事例2009.12.18 Friday
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これは、ある専門業者が提案している「二重床の防音対策」です。
実は問題があるのですが、実に惜しい内容なんです。通常の2重床に比べて耐久性もあるんですが、同様な問題を抱えています。
*防護ゴム(防振ゴム)が潰れて劣化してくるので防振性が劣化していきます。
厚いゴムを単層で取り付けると共振する周波数が問題になります。
ただ、これを改良すると、この案は凄く活きてきます。
*隙間で空気層が共振しますので、重低音などが増幅されることがあります。
*中間に制振層がありませんので、大引きまで殆どダイレクトに振動を伝えます。
ですから、防振ゴムが劣化した時点で、上記の構造は大幅に防音性能が低下します。
根太組みは、グラスウールなどの吸音材にコンパネなどを重ねて敷く工法よりも耐久性があり、複層による対策ができるので幅広い周波数の騒音を遮断できます。
*グラスウールの簡易浮き床は、低い周波数の騒音を抑えるのが不十分という欠陥があります。
床の対策は天井と同様な問題を抱えており、有効な防音設計を行うのが難しいものです。奥深い研究テーマです。
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