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天井の重量音に簡易防音・パネル製品は無力2021.03.13 Saturday
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上階からの重量衝撃音には、大人や体重の大きな子供の足音、重い落下物の衝撃音などがありますが、大半が250Hz以下の音、低周波音が主成分のため、簡易防音・パネル製品では対処できません。
主な理由は、重量音は二重天井の空気層および下地・ボード全体を共振させながら透過してくるからです。天井面に遮音材やパネルを重ねても絶縁できないだけでなく、簡単に騒音が透過してきます。
工法そのものがマッチしていないのです。
パネル工法で効果が出るのは、軽量音だけです。それですら完全な遮断は出来ません。
マンション二重天井は重量衝撃音を増幅させる共振体となるという特性があり、実用的な天井裏の深さ10センチから20センチ程度の薄い空気層では減衰しません。
二重天井の重量音は本格的な防音工事で初めて減衰させることができるものですが、構造によっては施工そのものができない場合もあります。マンションは天井裏の配管が邪魔したり、梁型や既存壁の状況によっては構造体を支える下地として脆弱なこともあり、確実に施工できる保証もないです。
要するにマンション天井は新築の段階でないと生活防音の性能を向上させることが難しいのです。マンションリフォームは木造に比べて制約が多く、物理的な障害が多いです。
最もお金のかかる防音工事であるうえに、防音効果そのものを保証できない大変な施工です。
本来は音源である上階の床と受音側である階下の天井の両方で対処すべき構造です。
防音職人における実績においても、リフォーム工事の際に欠陥物件であることが判明して、防音工事完了後の精密測定でも、効果が出ない周波数帯が生じることもありました。
*天井を解体しないと見えないことが多いのです。
また、防音設計の基本を学んでいない業者が対処できるようなマンション物件はないと思います。騒音発生のメカニズムを説明できないような業者がやれるような対策はないです。
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マンション二重天井の防音設計・工事2020.12.19 Saturday
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一般的な天井防音で最も難しいのが、マンションの二重天井です。
この中でも、上階からの足音など重量衝撃音、GL工法の梁型・壁面への音の伝播が同時に起きているケースです。
上階の足音の主成分は二重天井の場合は、約30Hzから100Hzの低周波音および250Hz以下の衝撃音です。これらの騒音は二重天井の天井裏空気層の共振増幅と軸組下地への固体伝播が複合されて階下に響きます。
要するに二重天井は重量音や低周波音が増幅される「共振体」になります。このため、表層に防音材を貼り付けるだけの簡易的な対策では防音効果は殆ど出ません。
二重天井の防音設計ができる専門家は、東京でもごくわずかしか居らず、現役の技術者・専門家に限定すると、2020年12月現在わずか5名以下という状況です。
このうちの5名の一人が私であり、もう一人が取引先の建築士です。この建築士の知人を含めて3名だけが現役として、マンション二重天井の防音設計が可能です。
これは、東日本大震災以降に、天井スラブへのインサート増設が許可されなくなり、特殊な工法・仕様が必要になったため対応できる専門家が激減したのです。
しかも、防音工事を担当する建築会社が更に少なくなり、東京でさえ現実問題として、マンション天井の防音工事ができなくなっています。
ちなみに、通販業者がホームページに「天井面に防音材を貼り付ければ騒音が気にならないレベルに低減できます」と記載しているのは、誇大広告であり、ほとんど詐欺です。ご注意ください。
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マンション防音の課題2020.09.06 Sunday
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マンションの生活騒音などの防音設計の課題は主なものがいくつかあります。
・騒音伝播のメカニズムを理解すること。
・現実的な対策の工法を設計すること。
・防音施工が出来る業者を探すこと。
防音設計は騒音伝播のメカニズムと遮断方法を提示できる専門家でないと、設計図も施工要領も作成できません。
*実際に実例を掲載しているウェブサイトが殆どないことを考えると、「天井防音対策が」が最も難易度が高いと言えます。
マンションの二重床や二重天井の騒音伝播を専門的に始めて分析した組織は日本音響学会です。ですが、彼らは現実的な防音施工を設計したり、施工要領を提示できません。現場の建築知識や工事経験がないので、理論を具体的な施工に移すことが出来ないのです。
要するに研究者は防音設計・施工計画ができないし、建築士など設計者は防音設計そのものが理解できないという、致命的な業界の課題があります。
*この状況は25年前から変わっていません。
予算の問題を除いても、かりに防音設計が出来ても、実際に施工できる専門業者が予想以上に少なく、東京においても殆ど居ません。
それは難易度が高い割に手間がかかり、採算性が低いからです。
あえてリスクの高い案件を受注しようとする業者が居ないのです。
さて、ウェブサイトを探すためにキーワード検索しても、実例も解説ページも最近は出てきません。
検索エンジンそのものが専門的な内容や現状を理解していないので、コンテンツをただ自動的に拾っているだけです。
私が作った約17年間の事例ページも、現在はキーワード検索では殆ど出てこなくなりました。これが現実です。
出て来るのは、いい加減な素人ページや業者の誇大広告ばかりです。
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住宅の天井からの騒音対策2020.06.02 Tuesday
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防音設計および工事において、難易度の高いものが天井防音です。これはマンションでも木造住宅でも共通している課題です。
通常の天井防音対策は、上階の床防音とセットで施工するのが定石ですが、マンションは加害者側の上階床の施工は同意が得られないことが大半なので、被害者側の天井などを防音工事で対処することになります。
木造住宅においても、上階床の防音施工は床の厚さを改変することで建具などを造り直すことになり、費用がかさみます。
このため、マンションと同様に階下の天井だけで防音施工を行うケースが出てきます。
ですが、音源で対処したほうが防音効果は出しやすく、天井の防音工事もやりやすくなります。天井の対策を単独で行うことが最も難易度の高い設計・施工ということになります。
成功事例も研究データも少なく未知数の部分が多いので効果が保証できない対策と言えます。
また、木造においても、木造軸組在来工法とツーバイ工法では難易度が異なります。
前者は比較的改造ができますが、後者は既存構造を解体して造り直すことが殆どできないことが多く限界があります。
いずれにせよ、上階からの振動を伴う騒音対策は、新築でもリフォームでも、確実な工法が確立されていません。
今後、さらに実例を検証して分析を続けたいと考えており、私の方のチームでさえも判断材料が不足していると言えます。
私も25年以上、分析・考察を続けていますが、防音設計の課題は残されています。
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天井防音は共振体を理解することが重要2019.10.10 Thursday
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「天井防音」というキーワードで検索すると、実績のない通販サイトやキレーションサイト、見積りサイトのようなものばかり出てきます。これが検索エンジンの限界です。
単なる言葉遊びや製品の羅列に反応した結果です。
この天井防音の本質を分析しないと問題は解決できません。特に一般的なマンション住居やテナントにおいて、難易度の高い問題が天井騒音、なかでも低周波を主成分とする衝撃音や重低音の伝播です。
これは天井裏などの空間の空気層の振動増幅や騒音拡散を起こす共振体が問題です。二重天井や二重壁などの空洞を有する構造体の共振・固体伝播が主原因です。
これを理解した上での対策をどうするかという技術が「防音設計」です。
防音設計の技術のない業者には、二重天井・二重壁および二重床の重量衝撃音対策は無理です。
空気層の共振を抑える吸音材、下地構造の絶縁材、板状面材の制振・遮音など複合対策を「防音設計」として計画して施工できる専門業者のみが現状を改善できます。
防音製品を敷いたり、天井に貼り付けるという対策だけでは無理です。
日本音響学会の分析では、普通のマンションの二重天井は重量衝撃音に対して「共振体」となるため、現実的な対策はないとまで断言しています。それだけ難しい問題なのです。
実際の工事としては、いくつかの条件が備わっている現場において、上記のような設計・施工で騒音を改善できます。実例もあります。ですが、ネット上には成功事例が殆ど出てきません。
*出て来るのは防音職人の成功事例だけです。
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マンションの天井防音実例2019.07.25 Thursday
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マンションの二重天井やGL壁(梁型含む)の防音工事の実例がネット上に出てこないと言われます。
*出てきたとしても、それは防音職人が設計施工した事例です。そう、私が防音設計を担当した現場です。
なぜ、今は担当しないのかというと、まず予算的な問題や施工を担当する施工チームが少ないため、木造案件で一杯になると手が回らないという事情があります。
また、防音工事の許可をしていただくには、管理会社と管理組合の同意が必要です。これがかなり時間がかかるし、近隣世帯の同意書でダメになる案件もあります。
*騒音の加害者が、被害者の防音工事に同意しないというとんでもない現場も有ります。
さらに、大震災以降、防音構造の工法が大きく変わりました。防振吊金物を増設するためのインサートを増設できないという制約です。(この防振吊金物自体が経年変化で緩むことがありますので、どうしても増設しないと物理的にもたない)
そこで防音職人では他の専門業者とは異なる仕様で対処します。
*問題は費用が少しかさむことです。
被害者側の防音工事というのは、最後の砦であり、どうしても構造的に費用が嵩みます。本来は騒音源で対処すべきものを、被害者側の天井・梁(壁面も含む場合がある)において防音するので、本当に水際で水害被害を抑えるような難しさがあります。
しかも騒音の主成分が低周波の場合は、グラスウールなど吸音率の低い素材では対処できません。
同時に遮音・制振層の構築と下地の振動絶縁が必要です。
どうしても専属の施工チームしか依頼することができません。
以上の諸事情から、私が相談をお受けしても契約に至らないケースが多いため、事業者としてやむを得ず木造案件に力を入れているわけです。ネット上には私のウェブコンテンツを切り張りしたようなキレーションサイトが結構出てきます。
彼らはみなど素人です。建築の知識もありません。
私も苦々しく見ることもありますが、相談者自体がいい加減な情報サイトを見て諦めてしまうこともあると思います。
*グーグルはスマホフレンドリーを重視していますので、私が作った静的なHTMLページそのものがキーワード検索で出てこなくなっています。
今までのコンテンツを作り直すのはなかなか大変な作業になります。
少ないですが、次のマンション防音の実例をご覧ください。(スマホに対応してます)
また、通販業者の誇大広告を解説した記事も併せてご覧ください。
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該当する防音工事の実例2018.10.23 Tuesday
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相談者によく言われるのが、マンションの天井防音工事の実例が殆どないということです。
実例がネット上に出てこないのは、防音工事の事例がないのではなく、成功した天井防音の現場が極めて少ないことを意味しています。成功実績のない専門業者には無理だということです。
見積金額もばらつきがあり、業者によって大分差があるのは、設計仕様と使用する防音材の差です。
簡易的にグラスウールや遮音パネルを張り付けるだけの工事では殆ど防音効果は期待できません。
そんな甘い対策では無理です。
*参考:防音課題と分析(天井防音など)
例えば、マンションの上階界からの足音など重量音は、主成分が250Hz以下の周波数帯の音であり、過半が低周波(100Hz以下)騒音です。天井裏の空気層の共振や拡散する重量音が天井ボードや遮音パネルを透過してきます。
軸組下地からの固体音(軽量衝撃音を含む)も伝わります。
空気音と固体音の2種類の経路から伝播する騒音が複合されて階下などに響くので、防音対策は複雑になります。
しかも、大震災以降、天井スラブへのインサート増設は禁じられていますので、衝撃音の遮断には天井スラブとの接点をなくす工法が必要です。難易度が高いので、東京の専門業者でも敬遠します。
マンションと木造住宅には完全防音はあり得ません。出来ると謳っている業者は誇大広告です。
まずは、具体的な防音相談を依頼して提案書を提示してもらうことが必要です。設計仕様を見れば業者の実力は分かります。
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天井防音のご相談について2018.05.03 Thursday
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最近増えている天井防音対策の相談が、遮音シートや遮音パネルを天井に張り付けたが効果が殆どないというものです。
*大半が建築士が紹介した通販サイトの遮音パネルや遮音シートです。
既存の天井に張り付けるだけで上階からの振動騒音を半減させることは無理です。
理論的にあり得ないです。
次のページを読んでいただければ難しさが理解できると思います。
天井裏の吸音、軸組下地の絶縁・防振など複合的な対策で、ようやく半減させることができるものです。
騒音源が低い周波数ほど難しくなります。
木造の場合は大改造すれば大幅に軽減できることもありますが、通常は音源の床で防音工事をするのが定石です。
マンションの場合は、既存スラブに吊金物を増設する工事の許可が出ないので、物理的に対処できない場合があります。
とにかく、天井防音は「遮音」「防振(制振)+絶縁」「吸音」の機能を組み合わせないと効果は出ません。
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マンション天井の防音案件(続報)2016.07.21 Thursday
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先日投稿した案件の依頼者ですが、昨夜、施工担当が現場を確認して契約に移ることになりました。
依頼者によると、今まで2回ほど防音工事を行った部屋(洋室)は大分静かになり、防音効果が優れているという判断で、今回3回目の防音工事(和室の天井と梁型)を決めたということです。
結局、リビングや廊下の天井も近い将来、防音工事をしたいというご希望でした。
防音職人のホームページに余りマンションの天井防音事例を掲載しないのは、万が一場所を特定されるとまずいと思ったからです。というのは、天井防音を決断される方は大半が上階居住者の出す騒音の被害者です。
防音工事を知られると、余計に騒音を出す最低の居住者が居るからです。
ですから、管理会社には事情を説明して詳細を伏せるように要望してから工事に入ります。
天井の防音工事は、床の工事よりも費用と時間がかかります。それでも複数回、同じ依頼者から工事を依頼されることがあります。
それは今まで、ちゃんと十分な防音効果が出ているからです。
マンションの生活騒音など天井防音対策で検索すると、無関係な実績のない通販業者や見積り業者、不動産業者が出てきます。これらは天井防音工事の成功実績がないにも関わらず、誇大広告や誘導広告でユーザーなどを欺いているものが多いです。
検索エンジンは、あくまでSEO対策に力を入れているサイトを自動的に拾ってしまいます。
サイトをじっくり見れば本物かどうか分かるはずなのですが、巧妙に人様のサイトコンテンツを部分的に流用したり、勝手にリンクをはる業者も居ます。
まずは、サイト運営者に具体的に問い合わせてみれば、実績のある業者かどうかは判断できると思います。
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マンションの二重天井防音(分譲住宅)2016.07.06 Wednesday
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先日、同じ依頼者から3回目の防音設計・施工を依頼されました。ただ前回より約5年が経過しており、防音材が大分値上がりしていますので、見積り・仕様を再検討する必要があります。
*単純に面積を修正して計算すれば出来上がるものではありません。
また東北大震災など以降、天井スラブに新たなインサートを設置できないので、特殊な工法になります。
今回の対策の対象は寝室の天井と梁型ですが、前回・前々回とは別の部屋です。今までの防音工事が十分に効果が出ているので、3回目のご依頼ということになりました。
*別の部屋ですが、構造的には共通しています。ただし、GL工法の梁型が2本天井を横切っています。
ご依頼者は、今回を含めて延3年間(通算)となりますが、このかたは計画的にご予算をためて実行に移すなど慎重な人です。
しかし、今年の猛暑の中、ついに寝室の上階騒音に我慢できなくなり、防音工事を検討されることになりました。
また、続報をご紹介します。
ちなみに、依頼者によると、相変わらずネット上にはマンション天井の防音事例がないので、防音職人のウェブサイトだけが具体的な事例が掲載されている状況だと言われました。
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